中国の新築住宅販売が全国的にスローダウンしている。不動産専門のシンクタンク、易居房地産研究院が12月10日に公表したレポートによれば、中国の主要100都市の新築住宅在庫は2021年11月末時点で5億2110万平方メートルと、前年同月より2.1%増加。5年前の2016年8月以降の最大値を更新した。
在庫面積の増加は、現在の新築住宅市場が供給過剰状態である表れにほかならない。11月の単月データを見ると、主要100都市の新築住宅の供給面積が4495万平方メートルだったのに対し、成約面積は(供給量の8割弱の)3437万平方メートルにとどまった。
住宅販売の低調は、主要100都市以外でも同様だ。中国国家統計局のデータによれば、中国全土の新築住宅販売面積は2021年6月は2億2252万平方メートルだった。しかし、その後は月を追うごとに減少、10月の販売面積は(6月の6割弱の)1億2709万平方メートルに縮小した。
供給過剰の裏に政府の都市化政策
都市の規模別に見ると、在庫の増加が顕著なのは省都クラス未満の地方都市だ。易居房地産研究院のデータによれば、11月末時点の在庫面積は北京、上海、広州、深圳の4大都市では前年同期比2.9%減、省都クラスの大都市では同0.9%減と、1年前よりむしろ減少している。それとは対照的に、省都クラス未満の地方都市の在庫面積は同6.7%増と大きく増加した。
2015年以降、中国政府は(経済発展やインフラ整備が遅れた)農村部の都市化政策を強力に推進してきた。それに伴い、中国の住宅市場の重点は(省都クラス以上の)大都市から地方都市へと移り、新築マンションの販売面積と価格が同時に上昇した。
だが、住宅の新規供給量に比べて(農村から)地方都市への移住者数が不足したうえ、地方都市での産業育成や雇用創出に対する政策的支援も不十分だった。このため、地方都市の住宅市場は需給バランスを維持するのが困難になっていた。
そこに2021年後半からの不動産市況の冷え込みが重なり、地方都市の住宅価格は強い下押し圧力にさらされている。江蘇省塩城市、河北省唐山市、河北省張家口市など、10カ所余りの地方都市では(住宅価格の急落が社会不安を招きかねないことから)地元政府が新築マンションの「値下げ制限令」を発する異例の事態になっている。
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は12月10日
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