中国では不動産大手の恒大集団(エバーグランデ)の経営危機をきっかけに、金融機関がリスク回避のために不動産会社への融資を一斉に絞ったことから、不動産業界全体の資金繰りが急速に悪化した。
この問題に対し、中国政府は不動産会社の合理的な資金需要に応えるよう金融機関への指導を重ね、ここに来て資金調達環境は改善の兆しを見せている。調査会社の中指研究院によれば、11月1日から23日までに中国の不動産会社が発行した無担保社債の総額は425億元(約7646億円)と、10月の発行総額の3倍を超えた。
しかしその内訳を見ると、国有不動産会社と民営不動産会社で明暗がはっきりと分かれている。財新記者の調べによれば、11月に社債を発行した20社余りの不動産会社のうち民営企業は1社だけで、その他はすべて中央政府または地方政府の傘下の国有企業だった。
「現時点では、不動産市場の景気はまだ下り坂の途中にある。不動産会社のリスク抵抗力が全体的に低下するなか、(政府の後ろ盾がある)国有企業のほうが金融機関の支援を得やすい状況だ」。中指研究院のレポートはそう分析する。
身を切る「自助努力」が支援の前提
逆に言えば、民営不動産会社の資金繰りは依然、改善されていないということだ。不動産市場の冷え込みが強まるなか、民営不動産会社の多くは保有資産の売却、株主からの借り入れ、既存債務の返済繰り延べなどの(痛みを伴う)「自助努力」により、債務削減と投資資金の早期回収に奔走しているのが実情だ。
こうした国有と民営の落差の裏には、政府の意向も働いているとみられる。広東省政府系の住宅政策シンクタンクの主任研究員を務める李宇嘉氏は、経営危機に陥った民営不動産会社を「経営管理がずさんで、盲目的な借り入れ拡大と業務多角化に走っていた。まずは(政府に頼らず)自分の資産を処分してツケを払うべきだ」と突き放す。そして、身を切ることが金融機関の信任を得るための前提条件だと指摘する。
大手証券会社の申万宏源証券が11月22日に発表した調査レポートは、今後の見通しについて次のように分析した。
「不動産会社の社債に対する金融市場の信頼は依然として脆弱であり、最近の社債発行の回復は(政府による)市場安定の維持が目的だ。その恩恵が民営不動産会社にまで及ぶ可能性は、短期的には高くない」
(財新記者:鐘騰達、王婧)
※原文の配信は11月24日
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