中国の製造業の景況感が再び悪化に転じつつある。12月1日に発表された2021年11月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は49.9と、前月(50.6)より0.7ポイント低下。好不況の判断の目安とされる50を3カ月ぶりに割り込んだ。
特筆すべきなのは、製造業の事業環境が10月から11月にかけて大きく変化したことだ。10月までの数カ月は需要サイドが相対的に強く、供給サイドが弱かった。ところが、11月は供給サイドが顕著な回復を見せた一方、需要サイドが息切れを示した。
供給サイドの回復は、電力不足の緩和などにより生産活動の制約が軽減された効果が大きい。(供給側の指標である)生産指数は10月まで3カ月連続で縮小基調圏にあったが、11月は拡大基調圏に浮上した。
一方、需要サイドでは、中国国内で新型コロナウイルスの局地的流行が反復していることや製品価格の値上がりが、消費マインドの重しとなっている。(需要側の指標である)新規受注指数は、11月は3カ月ぶりに縮小基調圏に落ち込んだ。
雇用は4カ月連続で縮小基調
需要の後退や経営コストの上昇を受け、製造業の経営者は新規雇用に消極的になっている。製造業の11月の雇用指数は4カ月連続の縮小基調となり、なかでも消費財のメーカーで雇用の減少が目立った。
製造業の事業環境の変化は、インフレ圧力に対しては軽減の方向に作用している。11月の購買価格指数と工場出荷価格指数は、上昇幅がそろって大きく縮小した。
とはいえ、両指数は依然として上昇基調を維持しており、まだ楽観はできない。調査対象企業からは「鋼材価格は大きく値下がりしたものの、化学製品や電子部品は高止まりしており、物流コストも下がっていない」との声が寄せられた。
「11月は景気の減速感が強まったが、インフレ圧力は幾分軽減された。電力不足の緩和で供給側のボトルネックは改善した一方、新型コロナの局地的流行の反復が需要側に冷や水を浴びせている。製造業の景気の足元はまだふらついている状況だ」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は12月1日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら