粗鋼生産量が中国首位の河北省は、今冬の生産を大幅に削減する。暖房用エネルギーの需要期に合わせた措置で、省政府の工業情報化庁と生態環境庁が連名で省内の鉄鋼メーカーに通達した。
通達によれば、生産削減は2段階に分けて実施する。第1段階は2021年11月15日から12月31日までで、削減幅は前年同期比10.75%。第2段階は2022年1月1日から3月15日までで、削減幅は同30%に上る。
鉄鋼メーカーに対する冬期の減産指示は、河北省ではこれが初めてではない。だが、過去の通達では各メーカーの粗鋼生産能力を基準に減産量を決めていたのに対し、今冬は前年の生産実績を基準にするよう改められた。
「生産能力が基準では(実際の生産量と差異があるため)、政策の執行段階であいまいさが残ってしまう。生産実績に基づいて減産量を決めれば、(当局の)監査結果に対する議論の余地はなくなり、政策をより厳格に執行できる」。鉄鋼市場の情報サービス会社である上海鋼聯のCIO(最高情報責任者)を務める徐向春氏は、狙いをそう解説する。
マンション着工減少で鋼材需要が縮小
今回の河北省の減産指示は、中央政府が先に発表した政策を踏襲したものだ。9月30日、中国工業情報化省と中国生態環境省は連名で通達を出し、暖房需要期の鉄鋼生産の削減を2段階に分けて実施するよう指示した。その対象範囲は直轄市である北京と天津の2都市、および河北省、山西省、山東省、河南省の35都市だ。
中央政府の政策が鉄鋼市場に与える影響について、前出の徐氏は「2022年1~3月期の需要回復の度合いと在庫の状況次第だ」と話す。
2021年10月中旬以降、不動産デベロッパーに対する金融機関の融資抑制の影響などで、マンションの新規着工が大幅に減少。不動産セクターの需要が縮小し、鋼材の市場価格が下がり続けている。
例えば、(鉄筋などの建築資材として使われる)異形棒鋼の11月15日時点の先物価格は1トン当たり4138元(約7万3863円)と、10月11日につけた同5808元(約10万3673円)の高値から3割近く下落した。政府の減産指示により鋼材の供給が抑制されても、価格が下げ止まるかどうかは不透明だ。
(財新記者:羅国平)
※原文の配信は11月15日
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