中国政府による粗鋼減産政策の効果が現れ始めている。中国国家統計局が9月15日に発表したデータによれば、中国の2021年8月の粗鋼生産量は8324万トンと、前年同月比13.2%減少した。
粗鋼生産量は7月に前年同月比8.4%減と、2021年に入って初めて減少に転じた。続く8月は減少幅が7月より4.8ポイント拡大し、2021年で最大の下げ幅を記録した。
減産政策の影響で(粗鋼の原材料である)鉄鉱石の需要が後退し、鉄鉱石相場は底値を探る状況になっている。中国国内での先物価格は、9月15日に1トン当たり692.5元(約1万1807円)をつけた。これは9月上旬より9.5%安く、5月の最高値と比べると半値近い水準だ。
その一方で、(鉄鉱石を精錬・加工した)鋼材製品の市場価格は値動きが荒くなっている。(建物の鉄筋などに使われる)異形棒鋼の9月15日の先物価格は1トン当たり5518元(約9万4082円)。5月の最高値より11%安いが、9月上旬と比べると5.3%値上がりしている。
鋼材製品の値上がりに拍車も
中国の中央政府は、2021年の中国全土の粗鋼生産量を2020年より減少させることを各地の地方政府に求めている。鉄鋼業界の過剰生産能力の削減や、二酸化炭素(CO2)の排出量抑制を図るのが目的だ。これを受け、省別で上位3位の粗鋼生産能力を擁する河北省、江蘇省、山東省が、2021年6月下旬から相次いで具体的な減産目標を打ち出した。そのほかの地方政府もこれに続き、減産政策を強力に推し進めている。
とはいえ現状を見ると、年間目標の達成は厳しい。2021年1~8月の中国全土の粗鋼生産量は累計7億3300万トンに達し、前年同期比5.3%増加した。2020年の年間生産量は10億6500万トンだったため、中央政府の指令を達成するには9~12月の生産量を前年同期比18.6%減の3億600万トン未満に抑える必要がある。
粗鋼生産量の急減は、今後の鋼材市場にどんな影響を与えるのか。「(減産政策の推進によって)供給縮小のペースが需要縮小を上回る。そのため需給ギャップが徐々に広がり、鋼材製品の値上がりに拍車がかかる」。中国中信集団(CITIC)傘下の先物取引大手の中信期貨が9月15日に発表したレポートは、そう分析している。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は9月15日
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