中国各地の地方政府が相次いで粗鋼の減産計画を発表している。6月28日に、甘粛省政府で鉄鋼生産能力の過剰問題を担当する部門が地元の鉄鋼メーカーに対して、2021年の粗鋼生産量を前年より減らすよう書面で要求した。翌日には安徽省政府の担当部門が粗鋼減産に関する会議を開催。ここでも地元の鉄鋼メーカーに生産量の削減を求めた。甘粛省と安徽省の担当部門はいずれも、中央政府の方針に従った措置だとしている。
中国のマクロ経済政策を統括する中国国家発展改革委員会(発展改革委員会)は今年4~5月にかけて、公式ウェブサイト上で粗鋼生産量削減に関する文書を次々と発表した。そのなかで発展改革委員会は、環境対策が不十分だったり、エネルギー効率が低く、設備が老朽化している製鉄所の生産能力を重点的に削減することで、2021年の全国の粗鋼生産量を2020年の実績未満にするよう指示していた。
今年の5カ月間で粗鋼生産量は前年比増
注目すべきなのは、発展改革委員会が示した生産能力削減目標の半分以上が、省別で中国最大の生産能力を擁する河北省に割り当てられたことだ。事情に詳しい関係者が財新記者に明らかにした情報によると、発展改革委員会が目標に掲げる中国全土での粗鋼生産削減量2000万トン以上のうち、河北省のノルマは6割に当たる1200万トンとされている。
しかし業界関係者の多くが、この削減目標を「実現不可能なミッション」とみている。年初からの5カ月間の粗鋼生産量は、すでに前年同期比で約5772万トンも増加しているためだ。目標達成のためには下半期に前年同期比で約8000万トンも削減しなければならない計算となる。
また、地方政府が目標を達成するための実務面にも課題がある。生産量はあくまでも各鉄鋼メーカーから報告される数字であり、地方政府の指示に企業がすんなり従うとは限らない。河北省政府の関係者は財新記者に対し「政府の役人が毎日製鉄所まで足を運んで、原材料の投入量や鉄鋼の産出量を監視するのは不可能だ」と嘆いた。
(財新記者:羅国平、盧羽桐)
※原文の配信は7月5日
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