中国政府が推進するエネルギー消費の「双控(ダブルコントロール)」政策が、中国各地のアルミ精錬会社や鉄鋼メーカーの生産に大きな影響を及ぼしている。双控とは、電力や石炭などのエネルギーの消費総量を抑制すると同時に、エネルギーの消費効率(訳注:域内総生産[各省のGDP]を1単位生み出すのに必要なエネルギー消費量)の改善を図るという意味だ。
雲南省に本拠を置く電解アルミ大手の神火股份は9月17日、双控政策に対応した減産の継続により、2021年の生産量が年初の経営計画で掲げた80万トンを達成できず、約20万トン減少するとの見通しを発表した。
前日の9月16日には、同じく雲南省の電解アルミ大手の雲鋁股份も、双控政策による電力の供給制限と電解アルミの生産制限を受けて、年間生産能力の24.8%にあたる77万トン分の生産能力をカットすると明らかにした。
中国東部の江蘇省でも、多数の鉄鋼メーカーやアルミメーカーが電力の供給制限や(一時的な)生産停止を迫られている。年間300万トンの鉄鋼製品の生産能力を持つ徐鋼鋼鉄集団は9月16日、(地元政府から割り当てられた)双控政策の目標を達成するため、生産を半月停止すると発表した。
9つの省・自治区でエネルギー消費効率が悪化
ここに来て双控政策の推進が強化されている背景には、2021年の前半に少なからぬ地方でエネルギーの消費効率が悪化したことがある。
中国のマクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会は8月18日、エネルギー消費効率が改善せず逆に低下した9つの省と自治区を名指しで公表した。そのなかには前述の雲南省と江蘇省のほか、青海省、寧夏回族自治区、広西チワン族自治区、広東省、福建省、新疆ウイグル自治区、陝西省が含まれている。
双控政策の目標値は、もともとは中央政府が第13次5カ年計画(2016~2020年)の開始当初に各地方に割り当てたものだ。しかし時間の経過とともに、エネルギー消費総量の抑制については地方によって目標達成度にばらつきが生じた。特に、エネルギーの消費効率は相対的に良いものの経済成長率が高い地方で、総量抑制の目標達成が困難になっている。
このジレンマを解決するため、国家発展改革委員会は9月16日に通達を出し、双控政策の解釈を次のように明確化した。まず、双控政策の目的は二酸化炭素(CO2)排出量が多い化石燃料の消費を抑制することにあり、あらゆるエネルギーの消費を抑制することではない。そのうえで、政策の執行にあたってはエネルギー消費総量の抑制よりも、エネルギー消費効率の改善を優先するとした。
(財新記者:陳雪婉、白宇潔)
※原文の配信は9月18日
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