中国のマクロ経済の動向を分析するうえで、(工事現場や鉱山などで広く使われる)パワーショベルの稼働時間は重要な指標の1つとなっている。投資銀行大手の中国国際金融が8月18日に発表した2021年7月の「パワーショベル指数(CEUI)」は96.5時間と、前年同月比15.8%減少。4カ月連続の2ケタ減を記録した。中国国際金融は、8月も稼働時間の減少傾向が続くと予想している。
パワーショベルの販売台数も、3カ月連続で前年同月を割り込んでいる。業界団体の中国工程機械工業協会が建機メーカー25社を対象にまとめた統計によれば、7月のパワーショベルの販売台数は前年同月比9.24%減の1万7345台。そのうち中国国内での販売台数は1万2329台と、同24.1%も落ち込んだ。
その理由について、中国国際金融は(新型コロナウイルスの経済対策で政府主導のインフラ投資が加速した)前年同期からの反動減が一因とみている。また、地方政府による(インフラ整備目的の)建設公債の発行ペース が落ちて工事の需要が減ったことや、鋼材価格の高騰により一部の工事が様子見や延期になったことも、パワーショベルの販売に響いている。
海外市場でのパワーショベル販売は好調
2021年の前半を振り返ると、鋼材に代表されるコモディティ商品の値上がりが、インフラ関連業界に大きなマイナスの影響をもたらした。「工事のコストが予算をオーバーし、施工主が工事の進捗を遅らせたため、セメントの需要が減少している。その結果、セメント相場は3カ月近く低迷が続いている」。中国セメント協会の副秘書長を務める陳柏林氏は、財新記者の取材に応じてそう語った。
一方、海外市場での中国製パワーショベルの販売は中国国内よりも好調だ。前出の中国工程機械工業協会のデータによれば、7月のパワーショベル輸出台数は5016台と、前年同月比75.6%増加した。また、1~7月の累計輸出台数は前年同期の2倍の3万5149台に達した。
とはいえ、海外における中国製パワーショベルの市場シェアは高くない。海外需要の回復が加速したとしても、国内外を合わせた全体の販売台数を引き上げるまでには至らないだろう。
(財新記者:方祖望)
※原文の配信は8月18日
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