香港の不動産大手の長江実業集団(CKアセットホールディングス)が、上海で開発した大型複合ビルを香港の同業大手の希慎興業(ハイサン・デベロップメント)に売却することがわかった。9月17日、希慎興業が投資家向けの情報開示で明らかにし、長江実業も事実を認める声明を出した。
長江実業は、香港の著名実業家で大富豪の李嘉誠氏が創業した複合企業グループの中核企業の1つだ。李氏は現在も同社の上級顧問を務める。
今回売却するのは、オフィスビルと商業施設の複合開発プロジェクトである「世紀盛薈広場(シティーリンク)」。上海市静安区の新閘路と大田路の角地という好立地にあり、敷地面積は1万4500平方メートル、総建築面積は9万平方メートルを超える。
長江実業は世紀盛薈広場の開発を中国企業と共同で手がけ、全体の権益の60%を保有する。希慎興業の開示情報によれば、同社は世紀盛薈広場を35億元(約595億円)で取得予定であり、長江実業は売却を通じて21億元(約357億円)を手にする計算だ。
「中国不動産市場の将来に自信」と説明
「世紀盛薈広場の取得は戦略的な長期投資だ。わが社の不動産物件の規模を拡大して、中国本土でのビジネスを多様化させる。それにより安定的な賃料収入を確保することで、株主価値の向上につなげる」。今回の取引について、希慎興業はそうコメントした。
興味深いのは、長江実業が世紀盛薈広場の開発を長年目立たないように進めてきたことだ。建設地である西斯文里(訳注:上海の歴史的街並みが多く残されていたエリア)の土地開発権を取得した経緯や、取得価格については一切公表していない。同社は土地開発権を取得した9年後にようやく建設工事に着手。すでに建物は完成したが、その後も(テナント募集を行わず)未開業のままにしていた。
「今回の取引は、あくまで不動産デベロッパーとしての通常のビジネスの一環だ。中国本土はわが社の重点市場であり、目下20都市余りで50件を超えるプロジェクトを進めている。(上級顧問の)李嘉誠氏と(長男で現会長の)李沢鉅氏は、中国本土(での不動産事業の将来性)に対して大いに自信を持っている」。長江実業は声明の中でそう説明した。
(財新 駐香港記者:尉奕陽)
※原文の配信は9月18日
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