中国の地方政府による開発用地の払い下げで、競売の低調ぶりが目立ち始めている。
証券大手の中信証券がまとめたレポートによれば、9月17日までに福建省厦門(アモイ)市、江蘇省無錫市、山東省青島市など9つの大都市で今年2回目の土地の集中入札が実施され、合計362区画が落札された。だが、その8割弱の284区画は最低売却価格での成約であり、全体の落札価格の(最低売却価格に対する)プレミアムは平均4.85%にとどまった。
注目すべきなのは、8月下旬以降に集中入札を実施した6都市では、(それ以前に入札を行った3都市より)低調がさらに鮮明になったことだ。最低売却価格での成約が83%に上り、プレミアムは平均2%を割り込んだ。
しかも、これらの数字には地方政府が事前に入札を取りやめた土地は含まれていない。事情に詳しい関係者によれば、地方政府が競売を中止するのは、その土地の情報を公開しても買い手が現われず、入札が不成立になるリスクが高いケースが多いという。
揺らぐ「土地神話」の前提条件
中信証券のレポートは、不動産デベロッパーが開発用地を積極的に取得する前提条件として、次の2点を挙げる。第1に、不動産デベロッパーの資金調達環境が安定していること。第2に、住宅価格に顕著な下落が見られないことだ。
だが現在、2つの前提条件は「いずれも揺らいでいる」と、同レポートは指摘する。調査会社の中指研究院のデータによれば、中国の不動産会社の借り入れおよび債券発行の残高は2021年8月時点で1172億8000万元(約1兆9865億円)と、前年同月比50.3%も縮小。月次の残高はすでに6カ月連続で前年同月を下回っている状況だ。
(訳注:不動産会社の資金調達が縮小している背景には、中国の金融監督当局が2021年1月から、金融機関の総融資残高に占める不動産会社への融資比率に上限を定めたことがある)
住宅価格も転換点を迎えている。中国国家統計局が9月15日に発表したデータによれば、全国の主要70都市のうち、8月に新築住宅価格が上昇した都市は前月より5都市減って46都市となり、今年最低を記録。反対に、新築住宅価格が下落した都市は前月より4都市多い20都市に増加した。
(財新記者:王婧、周蜜)
※原文の配信は9月23日
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