中国では製造業の景気回復の足取りが重くなっている。9月30日に発表された2021年9月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は50.0と、前月(49.2)より0.8ポイント上昇。好不況の判断の目安とされる50ちょうどに持ち直したものの、反発力不足は否めない。
製造業の9月の事業活動は、供給側の縮小が続く一方で、需要側はわずかながら回復に転じた。(供給側の指標である)生産指数は原材料の高騰や供給不足などが響いて2カ月連続で低下。(需要側の指標である)新規受注指数は3カ月ぶりに拡大基調の領域に浮上したが、増加したのは中間財や投資財の受注が中心であり、消費財の受注は振るわない。
外需も依然として弱く、9月の新規輸出受注指数は2カ月連続の縮小基調となった。調査対象企業からは、海外で新型コロナウイルスの流行が続いていることや、(各国の水際対策強化で)国際海運の輸送能力が逼迫している影響などで、輸出ビジネスが打撃を受けているとの声が聞かれた。
雇用が圧迫され内需が弱含む悪循環に
製造業の生産がスローダウンし、需要の回復も限られるなか、9月の雇用指数は拡大基調と縮小基調のボーダーラインを2カ月連続で割り込んだ。新規受注が順調な企業でも、原材料の調達や製品の輸送に滞りが生じており、受注の消化率が下がっている。それが採用増を思いとどまる一因になっているようだ。
気がかりなのは、景気の先行きが不透明になるなかでインフレ圧力が高止まりしていることだ。製造業の9月の購買価格指数は4カ月ぶりの高水準を記録した。調査対象企業からは「エネルギー、工業用金属、電子部品の原材料などが特に値上がりしている」との声が寄せられた。
「景気の下押し圧力は引き続き大きい。外需の低迷が総需要の足を引っ張っているうえ、原材料の高騰や供給不足により製造業の生産活動が制約されている。その結果、雇用が圧迫され、最終的には内需が弱含む悪循環が生じている」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そう懸念を示した。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は9月30日
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