8月11日、中国の長江河口に位置する寧波舟山港で、港湾作業員1名から新型コロナウイルスのPCR検査の陽性反応が出た。港湾管理当局はこの作業員の勤務先である梅山埠頭をただちに閉鎖し、関連する現場の消毒を実施。同時にPCR検査の範囲を拡大し、全港の現場作業員に対する「閉鎖管理」を発動した。
(訳注:閉鎖管理は港湾地区を隔離し、関係者の出入りを厳しく規制する措置。作業員は一定期間ごとの輪番制で勤務し、当番期間中は港湾地区内の宿舎で生活する)
寧波舟山港は貨物取扱量が世界首位の巨大な港だ。コンテナの取扱量は世界第3位で、コンテナ専用埠頭が6カ所ある。陽性者が出た梅山埠頭の2020年のコンテナ取扱量は544万TEU(20フィートコンテナ換算)と、寧波舟山港全体の(コンテナ取扱量の)約20%を占めていた。
しかし梅山埠頭の閉鎖と寧波舟山港全体の防疫対策強化により、貨物の積み卸し作業の効率が低下。入港待ちのコンテナ船の渋滞が深刻になっている。スイスに本社を構える物流大手、キューネ・アンド・ナーゲル傘下のシーエクスプローラーのデータによれば、8月18日時点で55隻のコンテナ船が寧波舟山港の沖合で待機しており、入港までの待機時間は平時に比べて最低2日間長くなっている。
水先案内人の不足が最大のボトルネック
寧波舟山港で港湾作業員の新型コロナ感染が確認されると、長江河口のもう1つの大型港である上海港でも直ちに閉鎖管理が実施された。作業員たちは港湾地区から自由に出られなくなり、どうしても出る必要がある場合には(事前に)14日間の隔離が求められる。
こうした厳しい防疫対策に、海上輸送の繁忙期が重なり、入港待ちの船舶の渋滞に拍車がかかっている。ノルウェーの調査会社オーシャンボルトによれば、8月後半の時点で970隻を超えるばら積み貨物船が中国沿海部の60の港で待機しており、その数は過去7年近くで最大になっている。
財新記者の取材に応じた複数の船長によれば、港湾の閉鎖管理による影響が最も大きいのは「水先案内人」の人手不足だ(訳注:水先案内人は港に出入りする船舶に乗り込んで適切な水路を案内する専門職)。待機中の船舶は水先案内人が乗船してからでないと入港できないが、彼らは輪番勤務の交代時に(14日間の)隔離期間が必要であり、現場で勤務に就ける人数が減ってしまった。その結果、1日に入港できる船舶の数が制限され、近年稀に見る大渋滞を引き起こしたという。
(財新記者:賈天琼)
※原文の配信は8月19日
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