中国では7月下旬以降、新型コロナウイルスの局地的流行が複数の地方で発生。その余波を受け、サービス業の景況感が一気に悪化した。9月3日に発表された2021年8月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は46.7と、前月(54.9)より8.2ポイント急落し、2020年5月以降で初めて好不況の判断の目安とされる50を割り込んだ。
2日前の9月1日に発表された8月の財新製造業PMIは49.2と、同じく2020年5月以降で初めて50を下回った。製造業とサービス業のPMIが同時に「不況ゾーン」に入ったことは、中国の企業活動が全体的に鈍化しつつあることを示している。
サービス業では8月の供給と需要がそろって縮小したが、その幅がより大きかったのは需要サイドだった。調査対象企業からは、新型コロナの局地的流行と防疫対策の強化が顧客の購買意欲に冷水を浴びせ、新規受注が減少したという声が寄せられた。
需要縮小でサービスの値上げ難しく
景況感の急速な悪化を受け、サービス業の8月の雇用指数は3カ月ぶりに縮小基調に転じた。調査対象企業の一部は従業員のリストラに着手しており、他の一部は自己都合退職した従業員の穴埋めを留保している。
そんななか、サービス業の8月の投入価格指数は7月より上昇、販売価格指数は逆にわずかに低下した。投入価格指数の上昇は、人件費と物流コストの値上がりの影響が大きい。その一方で販売価格指数が伸び悩んだのは、需要縮小によりサービスの値上げが難しくなっているためだ。
「8月は製造業とサービス業の景況感が同時に悪化し、特にサービス業のマインドの冷え込みが顕著だった。中国政府が発表した7月の主要経済指標は市場の予想を下回り、景気の下押し圧力が強まっている。防疫対策、雇用維持、物価安定などさまざまな角度から、バランスのとれた対策が必要だ」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は9月3日
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