中国人の可処分所得に「南北格差」の広がり鮮明

上海が圧倒的首位、東北3省は全国平均に届かず

中国国家統計局は7月19日、2021年上半期の国民1人当たりの可処分所得を発表した。写真はダントツの首位となった上海市の高層ビル群

中国国家統計局は7月19日、2021年上半期の国民1人当たり可処分所得のデータを発表した。31の省・自治区・直轄市のなかでダントツの首位は上海市の4万357元(約68万2400円)、2位は北京市の3万8138元(約64万5000円)、3位は浙江省の3万998元(約52万4200円)だった。

全国ベースの国民1人当たり可処分所得は、2021年上半期は1万7642元(約29万8300円)だった。前年同期比の伸び率は名目ベースで12.6%、物価変動を考慮した実質ベースで同12.0%の大きな伸びを記録したが、これは(中国で新型コロナウイルスの感染が拡大した)2020年上半期の大幅な所得減少の反動と考えられる。

なお、実質ベースの伸び率について直近の2年(2020年上半期と2021年上半期)の平均値を計算すると、その値は5.2%と、2019年上半期の伸び率を1.3ポイント下回っている。このことは、可処分所得の伸びが新型コロナの発生前のレベルまでは回復していないことを示唆している。

地方別に見ると、2021年上半期の可処分所得の伸び率が最も高かったのは(新型コロナの感染が最初に拡大した武漢がある)湖北省の21.5%だ。2020年上半期の可処分所得が新型コロナの打撃を受けて前年同期比9.4%も減少したため、2021年上半期はその反動で伸び率が急上昇した。

新型コロナから回復できていない地域も

その一方で、新型コロナの影響からまだ脱却できていない地方も少なくない。例えば天津市と黒竜江省は、2020年上半期の可処分所得の伸び率がどちらもマイナスだった。それが2021年上半期はプラスに転じたが、伸び率は天津市が11.6%増、黒竜江省が9.2%増にとどまり、全国平均を下回った。遼寧省、吉林省、青海省も、2021年上半期の可処分所得は前年同期比10%増に届かない低い伸び率だった。

本記事は「財新」の提供記事です

また、名目ベースの伸び率について直近の2年(2020年上半期と2021年上半期)の平均値を計算したところ、地方間の落差が鮮明に浮かび上がった。チベット自治区、安徽省、貴州省、江西省、四川省では平均伸び率が9%を超えたのに対し、黒竜江省、天津市、湖北省、遼寧省、内モンゴル自治区、吉林省は全国平均の7.4%に届かなかった。

これら全国平均未満の地方は、新型コロナの深刻な打撃を受けた湖北省を除いていずれも東北3省や華北地方であり、近年は地場経済が(大手国有企業の経営不振などにより)困難に直面している。その意味で、今回の可処分所得のデータは「南北格差」の拡大を映し出したと言えそうだ。

(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は7月21日

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