中国政府は2020年7月から、農村部で電気自動車(EV)などの普及を後押しする「新エネルギー車下郷」と呼ぶキャンペーンを開始する。地域ごとの具体策は地方政府が策定し、キャンペーンに参加する自動車メーカーや対象車種への(補助金支給などの)優遇措置を定める。中国工業情報化省、農業農村省、商務省が7月15日に発表した通達で明らかにした。
通達によれば、キャンペーンは山東省青島市でキックオフ式典を催した後、海南省海口市、雲南省昆明市、四川省成都市、山西省太原市の4カ所に専用会場を設けてイベントを行う。対象となる新エネルギー車はメーカー10社の合計16車種とされた。
目下、中国の自動車市場では新エネルギー車の販売が失速している。新エネルギー車向けの補助金が2019年6月から大幅にカットされ、ガソリン車と比較した実売価格ベースの割高感がより顕著になったためだ。中国汽車工業協会のデータによれば、2020年1~6月期の新エネルギー車の販売台数は39万3000台と、昨年同期比で37.4%も減少した。
農村部では低価格の小型EVに商機
中国国務院が2012年に発表した新エネルギー車に関する長期計画では、2020年までに年間生産台数200万台、国内保有台数500万台を目指すとしていた。だが、この目標の達成は難しいかもしれない。中国公安省が7月14日に公表したデータによれば、今年6月末時点の新エネルギー車の登録台数は417万台と、目標までまだ83万台足りない。
新エネルギー車下郷は、こうした現状をテコ入れするのが目的だ。新エネルギー車の個人向け販売は、これまで高価格のハイエンドモデルが牽引してきた。しかし最近、ローエンドの小型EVが再び脚光を浴び始めている。自動車業界の専門家によれば、以前の政府の補助金は航続距離の長さを重視していたため、(価格や車体の制約で大容量の電池を積めない)小型EVは不利な立場にあった。しかし補助金が削減されてからは、小型EVのコスト優位性が改めて見直されている。
特に農村部への普及ではコスト優位性は大きな武器になる。「新エネルギー車は大都市ではすでに飽和状態に近づいているが、農村部ではまだ大きく伸びる余地がある」。官民一体のEV普及促進団体、中国電動汽車百人会の理事長を務める陳清泰氏はそう指摘する。陳氏の試算によれば、仮に農村住民の可処分所得が年平均10%増加した場合、2030年の農村部の自動車保有台数は人口1000人当たり160台に達し、総保有台数は7000万台を超える可能性があるという。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は7月15日
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