中国の不動産開発大手のSOHO中国を、アメリカの投資ファンドのブラックストーン・グループが買収する計画が白紙に戻ったことが明らかになった。9月10日、SOHO中国が「現時点までに買収の前提条件が満たされておらず、ブラックストーン側が買収提案を取り下げることに双方が同意した」と発表した。
この買収計画は2021年6月16日に発表され、ブラックストーンはSOHO中国の発行済み株式の54.93%を約142億8100万香港ドル(約2018億円)相当で取得することになっていた。買収の前提条件のなかには、中国の独占禁止法の執行機関である国家市場監督管理総局(市場監管総局)からの認可取得が含まれていた。
SOHO中国の8月6日付の情報開示によれば、市場監管総局はブラックストーンが法規に従って提出した(企業結合審査の)申請書類を受理。ブラックストーンは市場監管総局が発行した審査開始の通知書も受け取っていた。だが、市場監管総局はブラックストーンとSOHO中国に対して追加書類の提出を求めるとの見方があり、審査の行方は不透明だった。
共同創業者の去就に注目集まる
近年、SOHO中国は所有物件の売却を重ねてきた。現在の中核資産は北京と上海に保有するオフィスと商業施設の複合ビル8カ所で、それらの総賃貸面積は約78.5万平方メートルだ。
同社の決算報告書によれば、2021年1~6月期の賃料収入は約8億500万元(約137億円)。純利益は前年同期比約67%増の約3億4000万元(約58億円)だった。物件の平均入居率は約90%と高水準を維持している。
仮に買収計画がもくろみ通りに進んでいれば、ブラックストーンはSOHO中国の共同創業者である潘石屹氏と張欣氏の夫妻に代わって筆頭株主となり、潘氏夫妻の持ち株比率は63.93%から9%に下がるはずだった。
さらに、潘氏夫妻はSOHO中国の取締役も退任して同社の経営から身を退き、ブラックストーンが取締役会に対して新たなメンバーを推薦する手はずになっていただけに、今後の去就に注目が集まっている。
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は9月10日
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