ハイテク企業の集積地として知られる中国の深圳市では、近年、新築オフィスビルの大量供給が続いている。このため空室率が高止まりし、賃料相場が下がり続けている。不動産サービス大手のサヴィルズが1月7日に発表したリポートによれば、2020年10~12月期のAクラスオフィスビルの賃料指数は前年同期比6.3%下落した。
同じく2020年10~12月期のオフィスビルの空室率は27.9%と、前年同期より2.9ポイント上昇した。深圳市は中国の4大都市(北京、上海、広州、深圳)の中で最も空室率が高い状況となっている。
2020年10~12月期に新規供給されたAクラスオフィスビルの面積は18万平方メートル。2020年の通年の新規供給面積は105万平方メートルに上った。2020年末の時点で、深圳市のAクラスオフィスビルの総面積は830万6000平方メートルに達している。
オフィスと住宅で譲渡価格が真逆の動き
新築オフィスビルの大量供給は今年も続く。2020年初に中国国内で新型コロナウイルスが流行した影響で、一部の新築ビルの供給開始が延期されたためだ。サヴィルズのリポートによれば、2021年には深圳市内で合計135万9000平方メートルのAクラスオフィスビルが供給される予定だ。
その結果、2021年は空室率がさらに上昇するのは確実だ。賃貸契約の交渉でテナント側が有利になるため、賃料相場も引き続き下落するとサヴィルズは予想している。
賃貸利回りの低下とともに、オフィスビルの所有権の譲渡価格も下落している。深圳市内のオフィスビルの1平方メートル当たり平均譲渡価格は、2020年10~12月期は4万7900元(約76万円)と前年同期より9.1%値下がりした。
実は、これは深圳の住宅価格とは真逆の動きだ。中国国家統計局のデータによれば、深圳市の2020年11月の住宅価格指数は新築物件が前年同月比4.9%、中古物件が同14.6%それぞれ上昇した。
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は1月7日
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