中国の製造業は「コロナ後」の力強い回復基調を維持している。1月4日に発表された2020年12月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は53.0と、10年ぶりの高水準を記録した前月(54.9)から1.9ポイント下落したものの、好不況の判断の目安とされる50を依然大きく上回るレベルを示した。
製造業の活動は需要・供給の両面で活況を呈しており、2020年12月の生産指数は拡大基調が10カ月連続、新規受注指数は同7カ月連続となった。調査対象企業からは、「生産や新規受注の増加ペースは幾分鈍化したものの、引き続き堅調だ」という声が寄せられた。
海外では新型コロナウイルスの流行が再拡大し、世界経済の先行き不透明感が増している。そんななかでも中国の外需は穏やかな回復を続けており、2020年12月の新規輸出受注指数は5カ月連続の拡大基調を維持した。
出荷価格指数は2年半ぶり高水準
一方、気がかりなのがコモディティー相場の高騰の影響だ。調査対象企業によれば、(鉄や銅など)金属を中心とする原材料価格の値上がりで生産原価が急速に上がり、製品価格への転嫁が避けられなくなっている。こうした実態を反映し、2020年12月の製造業の購買価格指数は2018年1月以来の最高値を更新。工場出荷価格指数は2年半ぶりの高水準を記録した。
コスト圧力の上昇に伴い、製造業は雇用の拡大にやや慎重になり始めている。2020年12月の雇用指数は拡大と縮小の均衡ライン付近にあり、雇用情勢は総じて安定している。だが調査対象企業の一部からは、コスト削減のために新規雇用を抑制しているとの声も聞かれた。
「中国経済に対する新型コロナの負の影響は薄まり、2021年前半のマクロ経済指標はさらなる力強い改善を示すだろう。ただし、原材料価格の上昇が製造業のコスト構造と雇用情勢に与えるインパクトを注視していく必要がある」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は1月4日
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