「中国の高級ブランド品の市場規模は2020年に48%成長し、3460億元(約5兆4910億円)に達する。その結果、高級ブランド品のグローバル市場に占める中国のシェアは2019年の11%から20%へ倍増する」
コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーは2020年12月16日、アリババ系の高級ブランド専門ネット通販サイト「天猫奢品」と共同発表したレポートでそんな見通しを披露した。
このレポートによれば、中国では国内の新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いてきた2020年4月頃から高級ブランド品の販売が回復に転じた。さらに、消費者が海外旅行に出かけられなくなったために「爆買い」が国内に回帰し、年間を通じた高級ブランド品の販売額が過去10年で最大の伸びを記録した。
商品カテゴリー別では、皮革製バッグや宝飾品が前年比70~80%の高い伸びを示し、既製服や靴も同40~50%伸びた。一方、高級化粧品は同25%、腕時計は同20%と相対的に低い伸び率にとどまった。
海南島の免税店の売り上げが3倍に
もっとも、中国国内での高級ブランド品の消費拡大は、海外旅行先での爆買いがなくなった穴を埋めるまでには至ってはいない。2020年に中国の消費者が国内と海外で購入した高級ブランド品の総額は、前年比35%近くも減少した。
ベイン・アンド・カンパニーのパートナーを務めるブルーノ・ランネス氏によれば、「コロナ後」の中国で高級ブランド品の需要が伸びている背景には4つの要因がある。海外旅行消費の国内回帰、(年齢が若く消費性向が高い)新世代の消費者の台頭、(経済・社会の)デジタル化の発展、そして海南島での免税ショッピング優遇策である。
なかでも2020年の注目点と言えるのが海南島だ。同島での免税ショッピング優遇策はすでに10年の歴史があるが、中国政府のコロナ対策の一環として、2020年7月から1人当たりの免税ショッピング枠が年間3万元(約48万円)から同10万元(約159万円)に引き上げられた。
その結果、海南島では高級ブランド品の販売が爆発的に増加した。海南省政府の発表によれば、免税枠の拡大以降、海南島の免税店の1日当たり売上高は前年の3倍を超えた。2020年の免税店の年間売上高は、省政府の目標を上回る315億元(約4999億円)に達する見通しだ。
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は2020年12月16日
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