香港「ハンセン指数」、構成銘柄の規定変更の訳 中国本土の大型IT企業のウェートを引き上げ

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恒生指数社は香港証券市場を代表する株価指数であるハンセン指数を算出している(写真は同社ウェブサイトより)

香港の指数算出会社の恒生指数社(ハンセン・インデックシズ・カンパニー)は2020年12月22日、香港証券市場を代表する株価指数であるハンセン指数の改革に向けて市場参加者の意見を募るコンサルテーション・ペーパーを発表した。

改革案によれば、より多様な業界を代表する銘柄の組み入れ、それに伴う構成銘柄数の拡大、大型IPO(新規株式公開)銘柄の指数組み入れの迅速化、銘柄別の構成寄与度のバランス調整、などを計画している。

その最大の狙いは、中国本土のニューエコノミーを牽引する大型IT企業をハンセン指数に組み入れやすくし、構成寄与度を引き上げることにある。

ハンセン指数は伝統的に金融業のウェートが高く、香港市場の全体像から乖離しているとの指摘を受けていた。恒生指数社によれば、香港市場に上場しているIT企業の時価総額は2019年に金融業を超え、業界別の時価総額で最大のセクターになっている。

新規上場銘柄でも直ちに組み入れ可能に

そんななか、恒生指数社は2020年5月にハンセン指数の規定を見直し、当該企業が1株当たりの議決権が異なる複数種の株式を発行しているケースや、アメリカなどの証券市場にすでに上場している中国本土企業が香港市場に重複上場する場合などについても組み入れを可能にした。

この修正により、中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)、スマートフォン大手の小米集団(シャオミ)、バイオ医薬品の薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス)の3社が、すでにハンセン指数の構成銘柄に採用されている。

一方、2020年はアメリカで上場している中国企業の香港市場への重複上場が相次ぎ、その数は9社に上った。それらの銘柄は、香港の全上場企業の時価総額ランキングですべて100位以内に入っており、うち3社は20位以内の大企業である。

本記事は「財新」の提供記事です

しかし目下のハンセン指数の規定では、新規上場銘柄は時価総額の大小などに応じて、構成銘柄に採用されるまで最短3カ月から最長2年待たなければならない。

最新の改革案では、この規定を廃止することでハンセン指数の柔軟性をさらに高めようとしている。恒生指数社は市場参加者のフィードバックをふまえて、改革を1年以内に実現する計画だ。

(財新 駐香港記者:尉奕陽)
※原文の配信は2020年12月23日

財新 Biz&Tech

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