世界銀行は2020年12月23日、中国経済の観測レポート「中国経済簡報(チャイナ・エコノミック・アップデート)」の最新版を発表した。
それによれば、中国経済は(新型コロナウイルスが中国国内で流行した)2020年1~3月期に急激に落ち込んだ後、4月から12月にかけて予想を上回るペースで回復した。この認識に基づき、世界銀行は2020年の中国のGDP(国内総生産)成長率予想値を、前回レポートの2020年7月末時点の1.6%から2%に上方修正。2021年の予想値は前回と同じ7.9%に据え置いた。
最新レポートは、中国経済の急速な回復の原動力として、新型コロナ流行の効果的な抑制、政府の強力な経済対策、そして輸出の力強さを挙げた。その一方、需要と供給の回復ペースには不均衡があり、内需の回復は生産の回復より、消費の回復は投資の回復より遅れたと指摘した。
また、経済の供給サイドでは工業の回復速度がサービス業を上回り、需要サイドでは公共投資と不動産投資が経済復活の主な牽引車となった。
米中対立など地政学的緊張もリスクに
2021年の中国のGDP成長率について、最新レポートは7.9%との予想値を据え置いた。ただし、これには2つの前提がある。中国が新型コロナ流行の効果的抑制を維持できることと、2021年以降に有効なワクチンの普及を通じて世界的な感染爆発の再発が抑止されることだ。
新型コロナの流行は世界各地で再び深刻化しており、欧州でのロックダウン強化などの影響でグローバル経済の先行きは楽観できない。さらに(アメリカと中国の対立など)地政学的な緊張も続いており、主要な貿易相手国との貿易不均衡や技術移転をめぐる摩擦が、中国経済の回復持続と中期的成長にリスクをもたらしていると、レポートは指摘する。
こうした外部環境の不確実性を克服するため、中国政府がより弾力的な政策の枠組みを作り、国内外の経済回復のペースに合わせて随時調整することを世界銀行は提案した。また、政府の経済対策の早すぎる縮小や過度な金融引き締めは、中国経済の持続的回復を阻害する可能性があると注意を喚起した。
(財新記者:李憶)
※原文の配信は2020年12月23日
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