9月14日、マカオ政府はカジノの運営ライセンスの付与数や有効期限などの変更を含む、カジノ法の改正案を発表した。現在6社に付与されているカジノの運営ライセンスの期限は2022年半ばまでで、すでに残り1年を切っている。改正案の内容が報じられると、香港証券取引所に上場しているマカオのカジノ関連銘柄の多くが急落した。
改正案には、上述のライセンス数や有効期限変更のほか、カジノ運営業者による非カジノ業務の促進、カジノ運営業者およびジャンケット業者(訳注:富裕層などの上客をカジノに案内する仲介業者)に対する審査の厳格化、政府代表者によるカジノ経営の監督、刑事責任と行政処罰制度の明確化などの規制強化が盛り込まれている。
マカオ政府は19年前の2002年、“カジノ王”と呼ばれていた故・スタンレー・ホー氏のグループが41年間にわたって保有していたカジノ運営の独占権を廃止し、運営ライセンスを3社に付与した。その後、マカオ政府はこの3社がほかのカジノ会社に運営権をサブライセンスすることを許可。現在の6社体制に移行した。
コロナ禍でも政府歳入の65%がカジノ依存
この6社の内訳は、スタンレー・ホー氏の流れをくむSJMホールディングスおよびメルコ・リゾーツ・アンド・エンターテインメント。アメリカ系のサンズ・チャイナ、ウィン・マカオ、MGMチャイナ。香港系のギャラクシー・エンターテインメントである。
カジノ法の改正案が発表された翌日の9月15日、これらの上場株には売り注文が殺到。サンズ・チャイナの32.5%安を筆頭に、株価の終値は前日比20%以上の暴落を記録した。
マカオ政府がカジノ規制の強化を打ち出した背景には、中国政府の意向があるとの見方がある。9月5日、中国政府はマカオと広東省のマカオ隣接地域の新たな地域協力計画を発表した。そのなかで中国政府は、マカオ経済の(カジノに過度に依存しない)多元的な発展を推進する姿勢を示した。
とはいえ実現は容易ではなさそうだ。マカオ財務局のデータによれば、カジノから徴収する特別税の2019年の収入は1127億パタカ(約1兆5383億円)と、マカオ政府の歳入の8割超を占めた。新型コロナウイルスの感染拡大で観光客が激減した2020年でも、その比率は65%に達している。
(財新記者:周文敏)
※原文の配信は9月15日
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