5月9日夜、中国製薬大手の復星医薬集団(フォースン・ファーマ)は、ドイツのバイオ医薬ベンチャーのビオンテックとの合弁事業への投資を発表した。メッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる新技術を用いた新型コロナウイルスのワクチンを中国で製造し、その生産能力は年10億回に達する見込みだという。
復星医薬は2020年3月13日にビオンテックとライセンス契約を締結し、中国本土、香港、マカオ、台湾でビオンテックのmRNAワクチンを独占的に生産・販売する権利を取得している。
5月8日に両社が調印した合弁契約書によると、復星医薬の子会社である上海復星医薬産業発展とビオンテックは、それぞれ合弁会社の資本金の50%を引き受ける。そのうち、復星医薬は、最大で合計1億ドル(約109億円)相当を現金または工場や生産設備などの形で出資する一方、ビオンテックもmRNAワクチンの生産技術や特許ライセンスなど最大1億ドル相当の無形資産を出資するという。
販売承認の可否や時期が確定しない
そのほか、復星医薬は「合弁会社の最初の運転資金需要を満たすために合理的な努力をする」と語った。これには合弁会社に対する復星医薬からの資金貸し付けおよび銀行融資への最大1億5000万ユーロ(約198億円)の保証が含まれる。
昨年11月、ビオンテックはアメリカ製薬大手のファイザーと共同で、新型コロナ用のワクチン「BNT162b2」の研究開発成果を世界に先駆けて発表した。その第3相臨床試験では、ワクチン接種の有効率は95%に達した。
しかし現在、このワクチンは中国本土においてはまだ第2相臨床試験中であり、復星医薬は今回の発表で、「(医薬品の規制当局による)販売承認の可否、その時期については確定していない」としている。
中国本土でのBNT162b2ワクチンの治験と承認の進捗は、業界の予想よりも遅れている。これについて、復星医薬の董事長兼CEO(会長兼最高経営責任者)である呉以芳氏は、過去の財新のインタビューで、「(同社が)国家薬品監督管理局の要件に従い、ワクチンの製造販売の承認に向けた申請手続きを進めている」と語っている。
(財新記者:滑昴)
※原文の配信は5月9日
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