中国の対外貿易の力強い成長を背景に、世界の海運市場が活況を呈している。2021年4月の中国の対外貿易総額は前年同月比26.6%増の3兆1500億元(約53兆円)に達し、2019年4月との比較でも25.2%増となった。ドル換算では、中国の輸出額は前年同月比で32.3%増加、成長率は直前の3月に比べ1.7ポイント上昇した。輸入額は前年同月比43.1%増加し、成長率は3月より5ポイント上昇した。
資産運用会社の保銀資本管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)の首席エコノミストである張智威氏の分析によると、中国の輸出が事前予想を超えて増加した主因は2つある。1つはアメリカ経済の回復が全世界の需要を後押ししたこと。もう1つはインドでの新型コロナウイルスの感染急拡大により輸出製品の生産が滞り、輸入業者の一部が調達先を中国に切り替えたことによる。
輸出入額が事前予想を超え大幅拡大したことにより、海上運賃は暴騰した。コンテナの運賃は相次いで史上最高を記録。イギリスのバルチック海運取引所が発表するバルチック海運指数(BDI)も過去11年で最高となった。上海航運交易所が発表する上海発輸出コンテナ運賃指数(SCFI)は、年初に下降後、上昇に転じて、4月30日の取引終了時点では3100ドル(約33万8500円)に達し、史上最高を記録した。
複数のコンテナ海運会社が海上運賃などを引き上げ
複数のコンテナ海運会社は最近、海上運賃と関連諸費用を相次いで引き上げている。デンマークの海運大手A.P.モラー・マースクは5月5日、ヨーロッパの港の埠頭と倉庫が逼迫し、船舶の沖待ち時間が長くなっていることを受け、船混み割増料を徴収すると発表した。
ドイツの海運大手のハパックロイドも、6月1日以降、東アジア発アメリカ向け航路およびカナダ向け航路で割増料金を徴収すると発表した。また、台湾の海運会社の万海航運(ワンハイラインズ)も、昨今の運営コストの上昇により、中国からアジア諸国向けの運賃を値上げすることを発表していた。
一方、世界最大の鉄鋼生産国であり消費国でもある中国では、3月以降、鉄鉱石の輸入量が急増、鉄鉱石輸送に用いられるケープサイズの大型ばら積み貨物船の需要が逼迫している。バルチック海運取引所のデータによると、4月末時点のケープサイズの1日当たりの平均運賃は3万8000ドル(約415万円)を超え、1カ月前の2倍に上昇した。
(財新記者:賈天琼)
※原文の配信は5月7日
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