中国が2020年に海上輸送を通じて輸入した石炭は約2億4000万トンと、前年比15%減少した──。海運業の情報サービス会社の億海藍は2021年1月5日に発表した年次レポートで、そんなデータを披露した。
このレポートによれば、海上輸送による中国の石炭輸入は2020年1月から4月までは前年同月比で平均15%増加していたが、5月から11月にかけては一転して7カ月連続で減少、前年同月比の平均減少率は30%に上った。そして12月は再び輸入が増加に転じ、前年同月比15%増を記録した。
国別に見ると、中国にとって石炭の2大輸入先であるインドネシアとオーストラリアの減少幅が目立った。2020年のインドネシア炭の輸入量(中国の港への到着ベース)は1億3000万トンと、前年比19%減少、オーストラリア炭は同6805万トンと、同じく19%減少した。
中国は現在、石炭の純輸入国になっており、2019年の輸入量は国内消費量の約7.5%を占めた。主要な石炭輸出国は採掘コストが中国より低く、海上輸送費用も安い。このため中国沿海部の需要家にとって、長期で見た平均価格は輸入炭のほうが国産炭より低くなっている。
冬期の石炭不足で輸入引き締め緩和へ
にもかかわらず2020年5月から石炭輸入が減少に転じたのは、中国政府による引き締め政策の影響だ。財新記者の取材に応じたある華北地方の石炭輸入業者は、2020年5月12日に政府の関係部門からの通達を受け取り、「月間輸入量の既定の上限枠を厳格に守るよう指示された」と証言した。
さらに、2020年10月に中国政府がオーストラリア炭の輸入制限を指示したことで、石炭輸入量の落ち込みに拍車がかかった。前出の億海藍のレポートによれば、2020年12月のオーストラリア炭の輸入量はわずか46万6000トンと、前年同月比93%も減少した。
しかし冬期の暖房シーズンを迎えて、発電用石炭の供給不足を緩和するために、石炭輸入の引き締めを見直す動きが出ている。
中国のマクロ経済政策を統括する中国国家発展改革委員会は2020年12月、石炭の需給バランスに応じて「輸入量を適切に増やす」との方針を表明した。一部の市場調査会社は、2021年初に通達される新たな輸入枠により輸入炭の国内供給量は増加すると予想している。
(財新記者:白宇潔)
※原文の配信は1月6日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら