ワクチン入手に「切り札」台湾のしたたかな戦術

焦る「コロナ防疫優等生」が繰り出す一手

コロナワクチンの入手に苦戦する台湾が、強みを持つ半導体で活路を切り開こうとしている(写真:ロイター)

世界中が新型コロナの第3波やその変異ウイルスの対策に悩む中、水際対策で感染爆発を防いでいる台湾。意外にも、新型コロナワクチンの入手では苦しんでいる。しかし、ここにきて、世界の半導体不足を逆手に取って、半導体でワクチンを入手しようとするしたたかな交渉を、大国相手に進めている。

1月28日、台湾経済部の王美花・経済部長(経済相)はドイツの台湾代表所に当たるドイツ在台協会へ、新型コロナワクチン確保に向けた協力を要請したことを明らかにした。現在、世界的な半導体不足でドイツ産業界が渇望している半導体を、台湾はコロナワクチン対策を見返りに交渉中ということだ。

ワクチン入手で苦戦する台湾

ワクチンが緊急を要する戦略物資とされる中、半導体もそのような状況にある。だからこそ、これを有効活用しようとしているのだ。このような政府があらゆる方法でワクチンを獲得しようとする動きに、中央感染症指揮センター指揮官の陳時中・衛生福利部長(厚生相)も歓迎を示している。

実は、コロナワクチンの入手で、台湾は困難に直面している。新型コロナワクチン接種で、先進国の中で遅いと言われる日本でさえ2月から接種が始まる。しかし台湾では、ワクチンが届くのは早くても3月と言われ、1月28日のテレビ番組で陳部長は、「大国がワクチンを必要以上に買い占めている。国によっては人口の4倍の量を購入していて理解に苦しむ。いったい、余ったワクチンをどうしようというのか。WHO(世界保健機関)や国連はこの問題について指導力を発揮してほしい」と、強烈な不快感を示した。台湾がワクチン問題で苦戦していることをはっきり示した形だ。

台湾でもワクチンの国内開発を進めているが、承認までに時間がかかることや、国民の国内産医薬品への不信感・不人気もあって、対策の中心は海外製ワクチン輸入を中心に進められてきた。早期獲得を目指して2020年9月には、世界各国で共同購入して分配する国際的枠組み「コバックス」(COVAX)に参加したが、陳部長の発言のように、ワクチンの供給が需要に追い付いていない。

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