台湾経済「2021年は3.68%成長予想」の根拠

コロナ禍の早期対応が原点、IT需要増に沸く

「コロナ対応の優等生」となった台湾は、2020年も21年もプラス成長が予想されている。(写真・bee/PIXTA)
コロナ禍で経済活動が停滞した2020年。現在も感染者数は増大している中で、これまで「コロナ対策優等生」と評価されている台湾の経済状況はどうなのか。2020年12月17日、台湾の中央銀行は、2020年の経済成長率(前年比)を2.58%と発表、それまでの1.60%から上方修正を行った。また2021年も3.28%から3.68%へと引き上げるなど、2020年はマイナス成長という世界の趨勢の中で、際立ったパフォーマンスを見せている。その理由を、台湾経済に詳しい国際経済研究所主席研究員の伊藤信悟氏に聞いた。

DXの世界的潮流が追い風に

――中央銀行が発表したプラス予測は、2020年の世界経済の中では際立って良好な予測ですね。

プラス成長になった基盤は、やはり新型コロナウイルス感染症の早期抑制が大きいです。すでに2019年末から感染拡大に警告を鳴らし、水際で感染者の入境を防ぎました。感染による人口当たり死亡者数が世界で最も低いことも、世界で高く評価されています。

産業面では、移動通信の5Gの普及が徐々に広がっている中で、DX(デジタルトランスフォーメンション)の潮流に乗っていることが大きいでしょう。IT関連に強い台湾経済に有利な流れになっています。金属やプラスチック・ゴム、工作機械といった分野では輸出は厳しいですが、前述のような理由で半導体やPC・同周辺機器の輸出が極めて良好です。テレワーク、リモートワークの普及が台湾経済の追い風になっています。

――他国がうらやむプラス成長の中、台湾経済の懸念すべきところはどこでしょうか。

コロナの感染抑制に成功した台湾でもソーシャルディスタンスが意識されており、個人消費に弱さがみられます。また、外国人観光客などの訪問客は2020年10月までで前年同期比86%減となっており、観光関連サービス業は大きな打撃を受けています。その分をICT(高度情報通信技術)や半導体の輸出でカバーしているのが現状です。

2021年は中央銀行が発表しているように3%台半ばの成長率がコンセンサスになっています。半導体投資も好調で、しかも生産拠点が台湾に回帰して雇用を生んでいます。風力発電に代表されるグリーンエコノミーへの投資も予定されています。5Gなど関連インフラへの投資もさらに進むでしょう。今後、世界的な感染者数増加の第3波の到来・拡大が不安材料ですが、おおむね良好なパフォーマンスを続けると予測しています。

――アメリカと中国との政治・経済的対立が台湾経済に何らかの影響を与えていますか。

とくにネットワーク関連機器やサーバーといったIT、ICT分野に好影響がみられます。米国の対中追加関税やクリーンネットワークの動きを受けて、それまで中国で米国向け製品を生産していた台湾企業が、生産拠点を台湾に回帰させる動きが広がっているのです。蔡英文政権も台湾回帰への支援策を行っています。それもプラスに作用しています。IT以外にも、米国の対中追加関税の対象となった自転車や一部自動車部品などでも、台湾企業が台湾に一部生産を戻しています。

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