コロナ禍で売上90%増!台湾で起きた観光革命 地元青年のパワーが観光資源を想像した
世界的な新型コロナウイルスの流行が続くなか、台湾では台湾内での行動制限が続々と解除され、離島旅行ビジネスが大盛況を見せている。ラグジュアリーなものからリーズナブルなものまで離島への旅行プランは様々だ。そのなかで人気が爆発した旅行先が馬祖(ばそ)列島である。馬祖では、このブームを一過性のものにしないために、地方創生のプロと地元の青年が手を取り合い、新しい観光の可能性を考え続けている。
台湾で1、2を争う人気旅行先になった離島。人気が高まった理由は離島旅行では飛行機や船での移動があり、台湾にいながら海外旅行気分を味わえるためである。台湾ではこのように海外旅行に出たつもりになることを「偽出国」と呼んでいる。その偽出国先のなかで抜きんでた人気を誇るのが、台湾本島から200キロメートル以上離れた馬祖列島だ。米国CNNの「世界十五大奇景」にも選ばれた絶景「青の涙(藍眼淚)」で知られる場所である。
軍事の最前線から観光地へ
馬祖列島は、中国大陸からわずか20キロメートルしか離れていないという地理的な状況から長らく台湾海峡をめぐる軍事最前線であった。しかし近年は中国との軍事的緊張の緩和により、観光業が積極的に展開されている。その人気に拍車をかけたのがコロナ禍だ。
エバー航空(長栄航空)傘下のユニー航空(立栄航空)によると、同社が運航する台湾離島線の搭乗者数は2020年7月と8月で各月共にのべ42万人を数えたという。これは昨年同時期から50%の増加だ。また台湾の旅行会社最大手の「ライオントラベル(雄獅旅遊)」が7月1日以降に販売した馬祖行きのツアー数は例年の2倍以上。さらにオンライン旅行代理店「ezTravel(易遊網)」では馬祖ツアーの売上が昨年同時期から90%増だという。現地のホテルの予約も取りづらく7月の時点で馬祖のホテルは11月まで満室になっていたそうだ。
観光客の急激な増加は現地にとって嬉しい反面、新たな悩みも生みだしていた。嬉しいことは観光業の活発化であることは言うまでもない。悩みはこのブームが必ずしも馬祖に経済効果をもたらすとは限らないということだ。観光客が有名な青の涙だけを訪れるような観光スタイルでは地元の活性化にはつながらない。そこで心ある3人のプロフェッショナルと地元の青年が協力し、馬祖観光の新たな可能性を模索し始めたのだ。彼らが目指したのは「ディープな体験型ツアー」である。この新しい馬祖観光を完成させるためには3つの課題があった。
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