コロナ禍で売上90%増!台湾で起きた観光革命 地元青年のパワーが観光資源を想像した

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結果、馬祖では多くの観光客が訪れるにもかかわらず、地元の店のほとんどがその恩恵を受けられない状況が続いていたのだ。曹理事長は、観光とは多くの地元住民が参与して初めて達成感と地元への経済効果が得られるものだという。

より多くの地元住民の参加のため、地方創生学の専門家である洪震宇氏は、地元青年と一緒になって馬祖の観光資源のチェックに乗り出した。鍵は「地域ストーリー」だ。地域ストーリーとは、観光において地域の文化、特産、アイデンティティなどを整理し、観光客が滞在期間のなかで経験可能な物語へと具現化させる一連のプロセスのことだ。

カギは「住民との連携、観光地のストーリー化」

つまり、島の生活を把握しストーリー化を進め、観光ツアーの行程に取り入れるということである。たとえば、調査の中で洪震宇氏は曹理事長と彼女の夫の母と一緒に島の市場を訪れた際、島民との市場めぐりをツアーの中に取り入れるよう強く勧めたそうだ。

そして洪氏は島民に観光客に対する物語を話し方の訓練にも協力した。半年ほどの時間を経て、地元青年と洪震宇氏は整理した観光資源と発掘した物語を融合させ馬祖ならではのディープな体験が可能な独自のツアーを作り上げたのだ。

その他も、馬祖列島の最南端の島の1つ「東莒島(とうきょとう)」のツアーではこんなアクティビティも誕生した。「閩東(びんとう)式」という伝統的な建物のテラスで、住民が自ら採ってきた海産物と、地元で栽培された野菜や特産物でハイビスカスティーの原料として知られる「ローゼル(洛神花)」を使った料理を楽しむというものである。食事と共に、夕日と海という景色を堪能しながら、地元の長老が話す料理や集落の物語を聞き、地酒に舌鼓を打つ……。まさに風土、文化、物語の全てを兼ね備えたツアーであるといえるだろう。

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