中国製薬大手の復星医薬集団(フォースン・ファーマ)は8月23日、2021年1~6月期の決算を発表した。売上高は前年同期比20.85%増の169億5200万元(約2870億円)、純利益は同44.77%増の24億8200万元(約420億円)に達した。主力の製薬事業の売上高は122億4800万元(約2074億円)と、売上高全体の72.25%を占めた。
復星医薬は、アメリカの製薬大手ファイザーとドイツのバイオテクノロジー企業のビオンテックが共同開発したメッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる新技術を用いた新型コロナウイルスワクチンの、中国本土および香港・マカオ地区での独占販売権を持つ。2021年前半に香港・マカオ地区で販売された同ワクチンの売上高は5億元(約85億円)を超えた。
ところが中国本土では、ファイザー・ビオンテック製ワクチンは国家薬品監督管理局の審査承認待ちで、販売開始時期はまだ定まっていない。
復星医薬の決算発表と同じ日に、アメリカ食品医薬品局(FDA)はこれまで緊急使用許可扱いだった同ワクチンを正式に承認した。
「FDAの正式承認は、mRNA技術を用いた新型コロナワクチンが(平時のより厳格な)法規に則って認可されたことを意味する。すなわち、FDAはこのワクチンの製造技術と品質を認めたということだ」。復星医薬の董事長兼CEO(会長兼最高経営責任者)を務める呉以芳氏は、翌24日に開催したメディア向けの決算説明会でそう強調した。
中国での臨床試験は第2相の段階
だが、中国本土での審査承認の見通しについて呉氏は明言を避け、「第2相の臨床試験などの手続きを(国家薬品監督管理局の)規定に従って進めている」と述べるにとどめた。
一方、復星医薬の親会社である複合企業、復星国際の董事長を務める郭廣昌氏は、8月25日に開催した1~6月期の決算発表会の席上で、投資家からの質問に対して「中国国内での臨床試験と審査承認手続きは予定通りに進捗しており、ワクチンの現地生産と供給体制の準備も着実に進めている」と説明。さらにこう続けた。
「わが社は中国の利益を第一に考えており、国のために新型コロナワクチンの選択肢を増やしたい。この(ファイザー・ビオンテック製の)ワクチンが一刻も早く中国本土で認可され、新型コロナの防疫対策に貢献できることを望んでいる」
(財新 駐香港記者:馬丹萌)
※原文の配信は8月25日
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