オンライン漫画アプリで中国首位の「快看(クワイカン)」は8月23日、2億4000万ドル(約263億円)の資金調達を完了したと発表した。出資者のリストには、既存株主であるネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)、アメリカのヘッジファンドのコーチュー・マネジメント、投資会社の天図資本のほか、新たに投資銀行大手の建銀国際、韓国のアプリストアのワンストアなどが加わった。
快看によれば、今回の資金調達額は単一ラウンドでの金額としては同社にとって過去最大であり、同時に中国の漫画業界における資金調達額の最高記録を塗り替えたという。
2014年12月に創業した快看は、中国の漫画家が創作したオリジナル漫画を(アプリやウェブを通じて)高画質・フルカラーで提供。スマートフォンやタブレットの画面を上下にスクロールしながら読むことを前提にした「縦スクロール漫画」に対応している。現在の登録ユーザー数は3億4000万人。そのうち1995年以降に生まれた「Z世代」が9割以上を占め、月間アクティブユーザー数は5000万人に上る。
オリジナル漫画の創作支援に約170億円
「目下のところ売り上げの大部分を漫画事業が稼いでおり、その内訳は広告、会員費、有料コンテンツ、版権ライセンスなどだ。漫画事業はすでに黒字化を達成した」。快看の創業者でCEO(最高経営責任者)を務める陳安妮氏は、財新記者の取材に対してそう語った。
陳氏によれば、中国の漫画市場をさらに発展させるためには、オリジナル漫画の作家をもっと増やす必要があるという。
「(快看が創業した)2014年の時点で、日本にはプロの漫画家が約7000人いた。しかし人口が日本の10倍以上の中国には600人余りしかいなかった」(陳氏)
今後3年間で、快看はオリジナル漫画の創作サポートに10億元(約169億円)を投じる。と同時に、「漫劇(マンチュイ)」と呼ばれる新分野にも同額を投資する計画だ。
漫劇とは、TikTok(ティックトック)などのショート動画アプリで鑑賞しやすいよう、漫画に動きや音声をつけて3分以内の簡易アニメーションに仕立てたものだ。快看によれば、漫劇は同社の配信開始から2カ月で再生回数が15億回に達し、そのうち抖音(TikTokの中国国内版)での再生回数が14億3000万回に上った。快看はさらに3000本の新作漫劇を制作中としている。
(財新記者:関聡)
※原文の配信は8月23日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら