中国の動画配信サービス「bilibili」(ビリビリ)の戦略的投資家リストに、騰訊(テンセント)や阿里巴巴(アリババ)に続いて日本のソニーが加わった。
アメリカのナスダックに上場するビリビリは、4月9日の取引開始前に公告を開示。ソニーのアメリカ法人が4億ドル(約433億円)を出資し、発行済み株式の4.98%を取得すると明らかにした。両社は業務提携を結び、アニメーションやモバイルゲームなど中国のコンテンツ・ビジネスで協力する。
ビリビリよれば、同社が新たに発行するZ種普通株式1731万株を1株当たり23ドル11セント(約2500円)でソニーが買い取る(訳注:ビリビリは1株当たりの議決権が異なる2種類の株式を発行している。Z種はその1つで、1株につき1票の議決権が付与される)。この値付けは4月8日のビリビリADS(アメリカ預託株式)の終値26ドル20セント(約2840円)より11.79%のディスカウントだ。
取引完了は2020年4月10日を予定し、新株発行による希薄化後も上位株主の顔ぶれは変わらない。新たな持株比率は筆頭株主で董事長(会長に相当)の陳睿氏が14.22%、第2位のテンセントが12.59%、第3位で創業者の徐逸氏が8.3%、第4位のアリババが6.8%となる。
2019年10~12月期は赤字額が前年比倍増
ソニーは映画、音楽、ゲームなどのコンテンツ・ビジネスをグローバルに展開している。ビリビリは中国の動画配信サービスで愛奇芸(iQIYI)、騰訊視頻(テンセントビデオ)、優酷(Youku)などの競合を相手に苦しい戦いを迫られていたが、ソニーとの資本提携でコンテンツをより充実させることができる。
また、ビリビリは個人の動画制作者によるユニークなコンテンツや、アニメやゲームの実況中継の画面にユーザーがコメントを書き込める機能などで独自の文化コミュニティを形成しており、固定ファンが少なくない。
2020年3月の電話による決算説明会で、董事長の陳氏は「今期はユーザー数の増加に力点を置く」と述べた。ビリビリの2019年末時点の月間平均アクティブユーザー数は1億3000万人。これを2020年に1億8000万人、2021年に2億2000万人に増やすのが目標だ。
ただし業績からは不安も残る。2019年10~12月期の売上高は20億800万元(約309億円)と前年同期比74%増加したものの、純損失は3億8700万元(約59億円)と赤字額が前年同期の2倍余りに拡大した。
(財新記者:劉爽爽)
※原文は4月09日配信
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