6月1日、中国で改正「未成年者保護法」が施行された。その当日、青少年保護に関わる北京の公益団体「北京青少年法律援助・研究センター」が新法に基づき、北京市第一中級法院(地裁に相当)に民事公益訴訟を起こした(訳注:民事公益訴訟は、社会で共通する利益が侵害された場合に、法律で定められた特定の機関や団体が訴訟を起こすことができる制度)。
訴訟内容は、人気オンラインゲームの「王者栄耀(オナー・オブ・キングス)」を運営する中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)が、未成年者の法的権利を著しく侵害しているというものだ。
北京青少年法律援助・研究センターは1999年に中国初の未成年者に対する法律支援と研究に特化した機関として発足した。設立以来、未成年者の権利保護に力を入れている。
テンセントのオンラインゲーム事業の売上高は、2021年1~3月期は前年同期比17%増の436億元(約7504億円)に上った。オーナー・オブ・キングスは、「絶地求生(PUBGモバイル)」や「和平精英(ゲーム・フォー・ピース)」と並び、同社のゲーム事業を牽引している。
北京青少年法律援助・研究センターは、オナー・オブ・キングスによる未成年者に対する権利侵害行為を、事細かに指摘している。もともとは「18歳以上」であったゲームの対象年齢が、2017年には「16歳以上」に引き下げられ、2021年には「12歳以上」にまで下がった。
子供には不適切なコンテンツが含まれる
にもかかわらず、オナー・オブ・キングスにはキャラクターイメージや、(課金して、くじを引くことで)ゲーム内のアイテムがランダムに当たる機能、ボイストークやチャット機能といった面で、12歳以上であっても不適切なコンテンツが大量に含まれているという。
そのほかにも、キャラクター衣装の過度な露出、サイトや(ゲーム利用者の)コミュニティーに散見される未成年の閲覧に不向きな卑わいなコメント、歴史上の人物をモデルとした登場人物による民族の伝統や文化の歪曲、アイテム購入のためのチャージの限度額の高さなどが、政府の規則に違反していると指摘した。
青少年のネット依存は中国で深刻な社会問題となっている。北京青少年法律援助・研究センターは「オナー・オブ・キングスにはゲーム中毒を誘発する仕掛けが潜んでおり、未成年者が自制心を失いゲーム依存になるリスクが高い」と警鐘を鳴らした。
(財新記者:単玉暁)
※原文の配信は6月1日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら