民生用ドローン世界最大手の中国の大疆創新科技(DJI)が開発したドローン2機種が、アメリカ国防総省の安全審査を通過したことがわかった。同省がこの2機種を分析した結果、システムに悪意のあるコードが発見されなかったため、アメリカ政府および軍隊での使用を認めたことが、アメリカ軍の報告書に記載されていたという。6月1日に現地の政治専門誌『ザ・ヒル』が、この報告書を独自入手して報じた。
DJIの北アメリカ地区の広報責任者であるアダム・リズバーグ氏は、ザ・ヒルの取材に対し「この報告書で、国防総省はアメリカ政府と企業がDJIのドローンを使っても安全であることを確認した」と説明した。
なおAP通信も同じ報告書を入手し、国防総省がDJIのドローン2機種のソフトウェアシステムとデータ漏洩リスクに対応する修正プログラムを評価した結果、安全であるとの結論に達したと報じた。
アメリカ政府のためにドローンを特別設計
DJI製のドローンは北アメリカ市場で高い人気を誇っている。アメリカ政府、アメリカ軍などの多くの公的機関でDJIのドローンが採用されている一方、その製品が収集するデータの安全性についてたびたび疑問が投げかけられていた。
アメリカ国土安全保障省の下部組織であるサイバーセキュリティー・インフラストラクチャー・セキュリティー庁(CISA)が2019年5月に発表した報告書では、中国製ドローンは飛行経路や撮影した画像などの情報を(製造元の)中国メーカーに転送してしまう可能性があり、中国政府がそのデータにアクセスして利用できる、と指摘していた。
なお、前出のドローン2機種はDJIがアメリカ政府のため特別に設計したものだ。普通のドローンと違い、インターネットには接続できず、データはドローン内部にしか保存できない仕様になっている。
DJIがこれらのドローンにインターネットへの接続機能を搭載しなかったのは、アメリカ国土安全保障省が指摘したデータの安全性への疑惑を払拭するためにほかならない。
(財新記者:方祖望)
※原文の配信は6月3日
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