6月3日、中国のファブレス半導体メーカーである兆易創新科技(ギガデバイス・セミコンダクター)は、独自開発した半導体メモリーのDRAMが量産体制に入ったと発表した。このDRAMは設計から、チップ製造、パッケージング、テストに至るすべての製造工程を中国国内で行った。
DRAMの国産化を実現した中国メーカーは、これで2社目だ。それ以前は長鑫存儲技術(CXMT)のみが、DRAMを開発・製造する能力を有していた。
ギガデバイスが初めて開発したDRAMは容量4ギガビットのDDR4型で、テレビ、モニター、ネット通信、タブレット、車載用AVシステム、などの家電分野に搭載される予定だ。
半導体業界内では、ギガデバイスのDRAM参入は既定路線だった。同社は2005年にNOR型フラッシュメモリーのファブレスメーカーとして設立され、同分野では世界のトップ5にまで上り詰めた。しかし半導体メモリーの主流であるDRAMやNAND型フラッシュメモリ-は、依然として海外メーカーが市場を独占している状態だ。
昨年4月には743億円の資金調達も
2020年4月、ギガデバイスはDRAMの研究開発と生産を目的に、 第三者割当増資による43億2400万元(約743億円)の資金調達を行った。(詳細は、中国半導体「ギガデバイス」がDRAMに参入の狙いを参照)。また、同社は過去に「CXMTと、DRAM製品の販売、ファウンドリー(受託製造)、エンジニアリングなど多方面での協力を検討している」と公表していた。
ギガデバイスとCXMTは緊密な協力関係にある。なぜなら、両社の経営トップは同一人物であるからだ。両社をよく知る人物が財新記者に語ったところによれば、今回ギガデバイスが発表したDRAMの製造を請け負ったのはCXMTだという。
両社はそれぞれDRAMを開発しているため、競合関係に当たる。業界内では今後も協力関係を維持できるのか、疑問を呈する声も出ている。ただ、前出の人物は「両者の製品の位置付けが異なっているため、競合することはない」と語った。同時に、この協力はCXMTにとって「大きなメリットがある」とも打ち明けた。なぜならギガデバイスには(NOR型フラッシュメモリーの販路開拓を通じて築いた)多くの販売ルートがあり、それらはCXMTがまだ開拓できていない販路であるからだ。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は6月3日
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