中国では「社区団購」と呼ばれる地域のコミュニティー向けオンライン共同購買サービスにおいて、「ダンピング」や「不当な価格表示」など独占禁止法の違反事件が立て続けに発生している。5月27日、国家市場監督管理総局(市場監管総局)は、電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)傘下の十薈科技に対し、不当な価格表示などがあったとして総額150万元(約2565万円)の罰金を科した。
十薈科技の社区団購である「十薈団(シーフイトゥアン)」では、ライバル企業の排除を狙った原価を下回る価格での商品販売や、虚偽または誤解を招くような価格設定で消費者や(レストランなど業務目的で買う)経営者を言葉巧みにだましていたことが問題となった。
具体的には、十薈団は3月11日、新疆ウイグル自治区のコルラ産の梨を250g当たり、3.89元(約66円)で仕入れていながら、0.99元(約17円)で2万セットあまりを販売した。この行為が「中国価格法」が禁止するダンピングにあたるとして、罰金100万元(約1710万円)が科された。
さらに4月29日には、中国の名酒である「五粮液(ウーリャンイエ)」のアルコール度数52度の500ミリリットル入り瓶を「原価2999元(約5万1282円)を、タイムセールで1199元(約2万502円)」と表記して販売した。ところが、実際の仕入れ原価も1199元(約2万502円)であったことが調査で判明。これについても、「中国価格法」の虚偽や誤解を与える価格表示の禁止に違反するとして、罰金50万元(約855万円)が科された。
市場の競争激化が背景にある
十薈科技に対する市場監管総局の行政処分は、実はこれで2回目だ。市場監管総局は、3月3日に十薈科技と、ネット配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)傘下の橙心優選(チャンシンヨウシュエン)、EC大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ)傘下の多多買菜(ドゥオドゥオマイツァイ)、生活関連サービス大手の美団(メイトゥアン)傘下の美団優選(メイトゥアンヨウシュエン)にそれぞれ罰金150万元(約2565万円)、ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が出資する食享会(シーシアンフイ)に罰金50万元(約855万円)を科していた。
5月26日に調査会社のニールセンが発表したデータによれば、現時点で中国全土30の地域で(社区と呼ばれる住宅団地に店を構える)零細小売店の25%が、共同購買サービスの取りまとめ役(団長)を務め、そのうち44%は3社以上のサービスの団長を掛け持ちしているという。社区団購における独禁法の違反行為が止まないのは、(低価格に見せることで)団長たちに自社のサービスを選んでもらう思惑があるためだ。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は5月27日
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