4月10日に独占禁止法違反で182億元(約3024億円)の罰金を科されたばかりの中国・電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)が、今度は独占禁止に絡む事業者集中の疑いで調査されることとなった。(約3000億円の罰金に関しては、アリババ「支配的地位」濫用で罰金3000億の衝撃、を参照)
4月19日、中国国有の資源大手「中国五鉱集団」傘下の鉄鋼商社で、上海証券取引所に上場する五鉱発展は、同社とアリババの合弁会社である五鉱電子商務(現社名は龍騰数科技術)に事業者集中に関わる法律違反の疑いがあるとして、国家市場監督管理総局(市場監管総局)による調査が行われることになったと発表した。
五鉱電子商務は2012年に五鉱発展の100%子会社として設立された。2015年11月にアリババグループの戦略投資部門である杭州阿里創業投資(阿里創投)が、五鉱電子商務の増資を引き受け、同社に44%を出資し、2016年にはB2B鉄鋼取引プラットフォーム「五阿哥」(ウーアーグー)の運営も開始した。
「五阿哥」は鉄鋼B2B向けのサードパーティ・プラットフォームとして、鋼材市場の上流から下流に至るオンライン取引、物流、金融などのECサービスを提供している。当時、五鉱集団は国有企業に民営資本を一部導入する改革の一環としてアリババと組み、同社の技術、サイト運営、オンラインマーケティング、サービスプロバイダー管理などをテコに、同プラットフォームを発展させることを狙っていた。
一方、アリババは、B2Bプラットフォームで上流から下流までカバーした成功事例を作りたいと考えており、アリババ傘下の国内B2B向けECプラットフォームである1688.com内の鉄鋼取引チャンネルを五阿哥と連携させた。
事業者集中で調査を受けるのは2回目
2008年に国務院が公布した「事業者集中に係わる申告基準規定」によれば、事前申告を行う要件の1つは、当該事業への集中に関与する全事業者の前年度の全世界売上高合計が100億元(約1662億円)を超えることとされている。
阿里創投による五鉱電子商務への出資は2015年であったが、その前年の2014年度のアリババ、五鉱発展の売上高はそれぞれ525億元(約8724億円)、1345億6000万元(約2兆2361億円)であった。
アリババが事業者集中により調査を受けるのは「五阿哥」のケースで2回目だ。2020年12月14日、市場監管総局は、アリババでM&A(企業の合併・買収)を担当する阿里巴巴投資による中国の小売り大手、銀泰商業の買収案件が適切に申告されておらず、違法に事業集中を進めたとして、同社に対し罰金50万元(約831万円)の行政処分を下したと発表している。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は4月20日
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