人を乗せて飛行する「空飛ぶクルマ」の開発・製造を手がける中国の億航智能(イーハン)は4月19日、2020年の通期決算を発表した。それによると、売上高は前年比47.8%増の1億8000万元(約30億円)だったが、純損益は9200万元(約15億円)の赤字で、赤字額は前年の1.92倍に膨らんだ。同社は2017年から2020年まで連続4年赤字となり、累計損失額は3億元(約50億円)を超える。
イーハンは2014年の創業で、2019年12月にはアメリカのナスダックに上場した。同社の事業は空飛ぶクルマがメインで、ドローンを用いた配送を行う「空中物流」、ドローンを応用した「スマートシティ管理」、空中イルミネーションなどの「空中メディア」を4本柱としている。
4つの柱のうち、空中交通事業の売上高は1億600万元(約18億円)で前年比23.3%増だった。イーハンは2020年に有人ドローン「EHang216」を70機販売し、その数は前年より9機増加した。
大口顧客との虚偽の契約の疑惑も
イーハンの董事長(会長に相当)を務める胡華智氏は決算報告書内で、同社はハイブリッドタイプの固定翼機「VT30」の販売開始を予定していることも明かした。EHang216の航続距離は35キロメートルで都市内の短距離交通に適している一方、VT30の航続距離は300キロメートル超と都市をまたぐ中長距離交通のニーズを満たすことが可能だ。
一方で、アメリカの投資会社ウルフパック・リサーチは2月16日、33ページにわたるレポートを発表。イーハンが大口顧客と虚偽の契約を結び、見かけ上の売り上げを膨らませていると告発した。イーハンはこのレポートの内容を否定している。(詳しくは、中国「空飛ぶクルマ」の開発企業に粉飾疑惑浮上、を参照)
同社の株価は、ウルフパックのレポートが公開される前日には、最高値の129.8ドル(約1万4055円)をつけていたが、レポートの発表直後に急落、当日の下げ幅は63%近くに達した。
(財新記者:方祖望)
※原文の配信は4月20日
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