中国「ガソリン車禁止」で日本車有利になる訳 ハイブリッド車で先行した日本企業の優位性
2020年10月27日に発表された中国の「省エネ・新エネルギー車(NEV)技術ロードマップ」(以下:ロードマップ)において、「2035年をメドに新車で販売するすべてのクルマを環境対応車にする」という方針が示された。従来のガソリン車を15年後に全廃する方針に、自動車業界は驚いている。
また習近平国家主席は、今年9月の国連総会で、中国国内の二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までに温室効果ガス排出を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする脱炭素社会の実現を目指すと表明した。
政府の環境対策を考慮すれば、電気自動車(EV)一辺倒のエコカー戦略も修正されていく可能性が高く、この流れは日本企業が得意とするハイブリッド車(HV)にとって追い風となりそうだ。
ガソリン車全廃を示したロードマップ2.0
中国のエコカー産業の方向性を示した最初のロードマップである「ロードマップ1.0」が発表されたのは、2016年10月だった。中国の製造強国戦略を担う「国家製造強国建設戦略諮問委員会」と、工業情報省が中国汽車工程学会(中国の自動車専門家組織)に委託して作られたものだ。
「ロードマップ1.0」では、新車市場に占めるNEVの割合は、2030年に新車販売全体の約5割にあたる1900万台とする、強気の計画であった。政策支援により、中国のNEV販売台数は2015年の33万台から2019年の120万台へと急速に伸び、世界全体の5割強を占める規模にまで増加した。
だが、現実には新型コロナウイルスの影響により、中国のNEV販売台数は減少しており、中国政府が描く大胆な電動化、EVシフトに暗雲が垂れ込めている。このままいくと、CO2を効率的に削減できない可能性があるため、NEV戦略を見直す動きが見られている。
量・質の両面で中国NEV市場が変化するなか、中国汽車工程学会が工業情報省の指導を受けて「ロードマップ2.0」を制定。2035年に電気自動車(EV)を中心とするNEVを50%とし、残りの50%を占めるガソリン車をすべてHVとする目標を打ち出した。それは、主に9つの領域からなる。
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