中国「ガソリン車禁止」で日本車有利になる訳

ハイブリッド車で先行した日本企業の優位性

「ロードマップ2.0」で打ち出された9つの領域は、以下のとおり。

<1:省エネルギー車(HV等)>
100㎞走行当たりの乗用車平均燃費を2025年に4.6リットル、2030年に3.2リットル、2035年に2.0リットル。2035年の貨物商用車とバスの平均燃費を、それぞれ2019年比で15~20%減、20~25%減とする。

<2:EVおよびプラグインハイブリッド(PHV)>
2035年のNEV販売台数は新車販売の50%、そのうちEVの割合がNEV全体の95%を超える。EVの用途は家庭用だけではなく、タクシー、公務用車、リース、商用車(短距離走行)に広がる。

<3:燃料電池車(FCV)>
2025年に保有台数10万台、2035年には100万台に達し、サプライチェーンの構築とコア部品技術の習得を図る、

<4:コネクテッドカー>
車両のコア技術、車間の通信技術、インフラ・基盤技術の推進。2030年に新車販売に占めるレベル4自動運転車の割合を20%に。高速道路や限定地域で、自動運転を実現する。2035年には高度な自動運転技術を全国で普及させ、スマート社会を構築する。

<5:車載電池>
2035年に世界トップレベルとなり、サプライチェーンとリサイクルシステムを構築。電池コストは400元(約60ドル)/㎏Wh以下、電池システムのエネルギー密度を300Wh/kg以上を目指す。

<6:駆動システム>
2035年にコア部品の国産化を実現し、システム全体の技術力を世界水準にする。モーター比車両重量の出力は7.0kg/kW、エネルギー総合利用効率は90%を目指す。

<7:軽量化>
高強度鋼(短期)、軽質材料・マグネシウム合金(中期)、複合材料(長期)の3段階で発展させ、2035年の乗用車軽量化目標として、2019年比25%減を目指す。

<8:充電設備>
2035年に充電スタンドを1.5億カ所に設置。タクシー・ネット配車向けの電池交換式EVの普及を目指す。

<9:スマート製造と設備>
2035年に主要製造工程のスマート化率を90%以上に。2020年は、労働生産性、総合設備効率をそれぞれ50%、10%向上させる。

 

ここからわかるように、非常に広域にわたり詳細な目標が示されたと言える。

中国の政策転換は日系企業の追い風となるか

中国では、2019年からCAFC(企業別平均燃費)規制とNEV規制が実施されており、罰則付きのルールによりメーカーのNEVシフトが促されている。

今年6月25日に発表された「ダブルクレジット政策」の修正版では、規制をクリアできる燃費性能を持つ内燃機関車が「低燃費車」と定義され、それに対するNEVクレジット算出を優遇するとしている。

中国で販売されるEVの「C-HR」と「IZOA」(写真:トヨタ自動車)

具体的には2021年以降、ガソリン車メーカーがEV生産義務を抱えるのに対し、低燃費車メーカーなら、上記生産義務の5分の1に相当するEVを作れば済むというもの。

同政策では、優遇車種の仕様が明記されていないものの、HVの省エネ効果が低燃費車基準に達する可能性が高いと見られる。今後、中国でエコカーが推進されれば、環境性能に優れる日系HVに有利となる可能性が高い。

次ページすでにHVの9割超が日系メーカー車
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