中国の独占禁止法の執行機関である国家市場監督管理総局(市場監管総局)は4月10日、中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)に対して市場における支配的地位の濫用をやめるよう命じるとともに、2019年の国内売上高の4%に相当する182億2800万元(約3046億円)の罰金を科す行政処分を発表した。
処分の決定書によれば、アリババは自社のECプラットフォームに出店する企業が競合他社のプラットフォームに出店したり販促活動に参加したりしないよう圧力をかけ、さまざまなインセンティブとペナルティを組み合わせて市場支配力を強めるなど、不公正な手段で競争優位を獲得していた。
こうしたアリババの行為は、出店企業の合法的権利を侵害し、消費者に不利益をもたらしたとして、市場監管総局は独占禁止法が定める市場支配的地位の濫用に該当すると認定した。この決定についてアリババは、「真摯に受け止め、(当局の指導に)しっかりと従う」とのコメントを出した。
今回の処分の根拠となったアリババに対する市場監管総局の調査は、決して容易なものではなかった。最も困難だったのは、対象とすべき市場の範囲や、そこでの支配的地位の濫用についてどのように認定するかだ。
「参入障壁下げた」との抗弁を退ける
財新記者の取材に応じた複数の独禁法の専門家によれば、プラットフォーム企業が市場支配的地位にあるかどうかや、その地位の濫用により競争が排除・制限されているかどうかを、法理に基づいて体系的に立証することは非常に困難だという。
そんななか、市場監管総局はECプラットフォームを通じた商品取引の総額と、そこから得られる手数料収入の両面でアリババの市場シェアが60%を超えることから、市場に対する支配力の集中度が高いと判断。そのうえで、アリババはプラットフォームのルールやアルゴリズムの制定者として検索順位や表示位置を動かせる立場にあることから、出店企業の経営に決定的な影響力を有していると結論づけた。
これに対して、アリババは自社が提供するキャッシュレス決済や配送サービスの利用を広くサードパーティに開放しており、それらを通じて競合他社の参入障壁を大幅に引き下げたと主張していた。だが結局、市場監管総局はアリババの抗弁を退けた格好だ。
(財新記者:銭童、原瑞陽)
※原文の配信は4月10日
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