中国の新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車は5月26日、2021年1~3月期の決算を発表した。売上高は35億7500万元(609億円)、純損益は3億6000万元(約62億円)の赤字だった。
同社は直前の2020年10~12月期に四半期ベースで初の1億750万元(約19億円)の黒字を確保しており、今四半期は再び赤字に転落した格好だ。なお、10~12月期の黒字の要因についてCFO(最高財務責任者)の李鉄氏は、2月に開いた決算説明会で「主に短期金融商品への投資によるものだ」と説明していた。
理想汽車が本業の自動車製造だけで収益を上げるのは、まだ難しい状況だ。これは現時点で中国の新興EVメーカーが直面する共通課題となっている。競合他社の2021年1~3月期の業績を見ても、蔚来汽車(NIO)は4億5000万元(約77億円)、小鵬汽車(シャオペン)は7億9000万元(約135億円)の赤字だった。ただし、両社とも直前の2020年10~12月期よりは赤字幅が縮小している。
出荷台数も他社に比べて伸び悩む
また、蔚来汽車の2021年1~3月期の出荷台数は直前の2020年10~12月期と比較して15%増の2万60台、小鵬汽車も同2.9%増の1万3340台だったが、理想汽車は同13%減の1万2579台だった。決算報告書ではその原因を「春節(中国の旧正月)前後の新型コロナウイルスの局地的な感染拡大による影響」と説明している。
蔚来汽車と小鵬汽車はいずれもすでに3モデルを発売しているが、理想汽車は現時点で「理想One」の1モデルだけで勝負している。同社は2022年にSUVタイプの新モデル、2023年にはEVの新モデルを発売する予定だ。
理想汽車の創業者でCEO(最高経営責任者)である李想氏は「自動運転技術はスマートEVにおける最低条件かつ、最重要のシステムである」と語り、アメリカのEV大手のテスラや小鵬汽車に比べて自社の自動運転技術は「まだキャッチアップの段階にある」と認めた。
なお同社の共同創業者の沈亜楠氏によれば、(販売拡大のため)今後は実店舗の展開を加速するという。さらに海外市場を開拓するための調査も進め、そのための専門チームも立ち上げたことを明らかにした。
(財新記者:劉雨錕)
※原文の配信は5月27日
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