民生用ドローン世界最大手の中国の大疆創新科技(DJI)は4月12日、中国自動車業界の最大級の展示会である上海モーターショーに出展すると発表した。4月19日に開幕する同ショーで、スマート・ドライビング事業の新ブランドとして立ち上げた「大疆車載(DJIオートモーティブ)」のテクノロジーを披露した。
上海モーターショーへの出展は、DJIによる自動車業界への本格参入宣言にほかならない。近年、自動車業界には異業種から参入が相次いでおり、通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)、ネット配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)、スマートフォン大手の小米(シャオミ)、インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)、EC(電子商取引)最大手の阿里巴巴(アリババ)などの“ビッグネーム”がスマートEV(電気自動車)の開発を競っている。
だが、DJIに後発の焦りはなさそうだ。同社によれば、自動運転技術を中心とするスマート・ドライビングの研究開発は2016年にスタート。2018年には本社を置く広東省深圳市の当局からネット連携型の自動運転車両のテスト走行許可を取得した。
同社の関係者によれば、スマート・ドライビング部門には現在約700人のエンジニアが在籍。5年におよぶ社内準備の期間中から自動車メーカーとの協業を開始し、早くも受注を獲得しているという。なお、DJIは完成車の製造は手がけず、自動車メーカーに部品やソフトウェアを直接納入する「一次サプライヤー」となることを目指している模様だ。
VWの中国市場向け量産車に実装へ
すでにDJIとの協業を明らかにしているのが、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)だ。「DJIは視覚情報処理の分野で先進的な技術を持っている。彼らとともに、さまざまな道路状況に応じた全自動・半自動運転技術の研究開発を進めている」。VW中国法人のCEO(最高経営責任者)を務めるシュテファン・ヴェレンシュタイン氏は、2021年1月にメディアの取材に応じた際にそう語った。この技術は近い将来、VWの中国市場向け量産車に実装される予定だ。
DJIのスマート・ドライビング部門からは、自動運転車両の「目」と呼ばれる「LiDAR(ライダー)」(訳注:レーザー光を照射して対象物との距離を測定する3次元センサー)の開発を手がけるスピンアウト企業も誕生している。2019年3月に発足した覧沃科技(Livox)は、生産・調達面のサポートをDJIから得ることで、すでに年産10万台の車載用LiDARの生産能力を持つという。
中国の新興EVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)は、2021年9月末以降にデリバリーを開始する予定の新型車にLiDARを搭載すると明らかにしている。このLiDARのサプライヤーこそ、覧沃科技にほかならない。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は4月12日
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