中国低価格EC・拼多多を揺らす「共同富裕」の重圧 四半期決算で2回目の黒字達成も、先行き不透明

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拼多多の2021年4~6月期決算は、四半期ベースで2回目となる黒字化を達成した(写真は同社ウェブサイトより)

低価格販売が強みの中国の電子商取引(EC)大手、拼多多(ピンドゥオドゥオ)は8月24日、2021年4~6月期の決算を発表した。売上高は230億5000万元(約3900億円)と前年同期比89%増加。純損益は直前の1~3月期は29億元(約491億円)の赤字だったが、4~6月期は24億1500万元(約409億円)の黒字に転換した。四半期ベースでの黒字化は、2020年7~9月期に続いてこれが2回目だ。

黒字転換の主因は、販売・マーケティング費用を前年同期比14%増に抑えるなど支出の抑制を徹底したことだ。その結果、販売・マーケティング費用の対売上高比率は前年同期の75%から45%に低下した。さらに、一般管理費も前年同期比10%増、研究開発費も同40%増の伸びに抑えた。

拼多多の董事長(会長に相当)を務める陳磊氏にとって、4~6月期は創業者の黄峥氏から今年3月に経営トップを引き継いだ後、実質的に初めての四半期決算だった。それを黒字化で無難に乗り切った格好だ。

しかし、同社の黒字経営は続かない可能性がある。拼多多は決算発表と同じ日、総額100億元(約1693億円)を投じて農業分野の科学技術研究を目的にした特別基金を設立することを、同社の董事会(取締役会に相当)が承認したと発表した。この基金は営利目的の投資は行わず、農業や(経済発展が遅れた)農村地域が直面する課題の解決を目指すという。

習近平主席のシグナルに敏感に反応

基金の原資は、4~6月期以降で損益が黒字になった四半期の利益から充てられる。このため、株主の短期的利益への影響が避けられないことを拼多多は認めている。なお、同社の財務副総裁(財務部門のナンバーツーに相当)の馬靖氏は、この基金を通じた投資の財務諸表上の位置付けについて、「研究開発費、ソフトウェア資産または長期投資に計上することになるだろう」と述べた。

本記事は「財新」の提供記事です

拼多多の基金設立の背景には、8月17日に開催された中国共産党中央財経委員会第10回会議で、習近平国家主席が「共同富裕」の推進を掲げたことがある(訳注:共同富裕は、貧富格差を是正して国民全体が豊かになるという理念。それに基づき、習主席は富裕層や企業に自発的な寄付や慈善活動を促した)。

習主席のシグナルに敏感に反応したのは拼多多だけではない。ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は8月18日、総額500億元(約8465億円)を投じて「共同富裕特別プロジェクト」を立ち上げ、農村部の経済振興、低所得層の所得底上げ、基礎的医療の提供体制の改善、教育格差の解消などの解決に取り組むと発表した。

(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は8月25日

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