カジノに代表される観光業が基幹産業のマカオにとって、2021年の春節(中国の旧正月)は当てが外れた年越しとなった。中国政府が「就地過年」(訳注:旧正月を普段住んでいる土地で迎え、旅行や帰省は自粛すること)を呼びかけた影響で、中国大陸からマカオを訪れる観光客が大幅に減少したためだ。
マカオ政府観光局の発表によれば、春節の大型連休(2月11~17日)の7日間に入境した旅行客は延べ9万人と、前年より65.3%減少した。しかも、2020年の春節にはすでに新型コロナウイルスの影響で観光客が激減しており、マカオは2年連続で春節の書き入れ時を逸した格好だ。
その打撃は深刻だ。例えばホテル業界では、春節期間中の客室の平均稼働率が5割に届かなかった。同期間の平均客室単価は1泊当たり1175.3パタカ(約1万5526円)と、前年より4割以上も値下がりした。
新型コロナは早期に封じ込めたが…
過去1年、マカオの観光業は新型コロナに翻弄され続けてきた。2020年1月28日に中国政府がマカオへの渡航許可証の発給を停止したため、中国大陸からの観光客の入境がストップ。マカオのカジノやホテルは、それから半年以上にわたって閑古鳥が鳴く苦況に直面した。
だが、マカオは比較的早く新型コロナの封じ込めに成功したため、中国政府は8月26日、隣接する広東省の市民に対して渡航許可証の発給を再開。9月23日にはそれを中国全土に拡大させた。
その結果、2020年9月以降はマカオの観光業に徐々に回復の兆しが見えていた。10月の国慶節(中国の建国記念日)の大型連休やクリスマスシーズンには相当数の観光客が入境し、2020年10~12月の旅行客数は232万7000人に達した。それだけに、2021年の春節に再び観光客が減ってしまった落胆は大きい。
なお、2020年にマカオを訪れた旅行客数は通年では延べ589万7000人と、前年比85%減少した。そのうち中国大陸からの旅行客数が8割強の延べ475万人を占め、前年比の減少率は83%だった。
(財新 駐香港記者:周文敏)
※原文の配信は2月20日
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