中国プロサッカーの「スーパーリーグ」で2020年の王座を獲得した江蘇足球倶楽部(江蘇FC)が、資金難による解散の瀬戸際に瀕している。2月28日午後、江蘇FCは「さまざまな不可抗力の要因により、スーパーリーグとAFCチャンピオンズリーグへの参戦継続が難しくなった」として、クラブの活動停止を発表した。
江蘇FCは中国の小売り大手、蘇寧控股集団(スーニン)の傘下にある。同社は2015年、別の企業がオーナーだった江蘇FCのメインスポンサーとなり、翌年には経営権を獲得した。だが近年、蘇寧は経営状況が悪化し、資金ショートの噂で社債価格が急落するなど深刻な危機に直面している。
蘇寧の董事長(会長に相当)を務める張近東氏は、江蘇FCの買収時に「全力を尽くして一流のクラブを作り上げる」と決意を語った。その後の5年間に、江蘇FCはCFAスーパーカップで2位に2回、CFAカップで2位に2回入賞。2016年のスーパーリーグでは2位となり、2020年のスーパーリーグで悲願の初優勝を果たした。
だが、輝かしい戦績の裏ではクラブの資金繰りが急速に悪化。2020年の後半には主力選手の賃金も支払えない苦況に転落してしまった。
蘇寧はインテル・ミラノも売却へ
「この半年近く、クラブの新たなスポンサーを探して奔走したが、成功には至らなかった」。江蘇FCは2月28日の声明文でそう無念をにじませた。なお、活動停止後もスポンサー探しは継続するという。
蘇寧の経営危機に巻き込まれたのは江蘇FCだけではない。同社は中国内外のスポーツ事業に積極投資を重ね、そのなかには2016年6月に約2億7000万ユーロ(約347億円)を投じて経営権を取得したイタリアの名門サッカークラブ、FCインテルナツィオナーレ・ミラノも含まれている。
しかし背に腹は代えられず、蘇寧はインテル・ミラノの売却先も探している。
内情に詳しい関係者によれば、蘇寧はすでに自力再建を断念して身売りする方針を固めた。その場合、江蘇省南京市政府の国有資産監督管理委員会が経営権を取得し、債務整理と事業再建にあたる可能性が高いという。
(訳注:蘇寧の上場中核子会社は2月28日夜、広東省深圳市政府の国有資産監督管理委員会の傘下企業2社が、張近東氏ら既存の大株主から発行済み株式の23%を買い取ると発表した。だが、取引が完了しても絶対支配権を持つ株主とはならず、経営再建の行方は混沌としている)
(財新記者:関聡)
※原文の配信は2月28日
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