深刻な債務危機に陥っていた中国の複合企業、海航集団(HNAグループ)がついに経営破綻し、破産法に基づく再建型の倒産手続きに入った。同社は1月29日、「返済期限を迎えた債務を返済できなかったため、債権者が海南省の高等裁判所に破産を申し立てた」とウェブサイトで発表した。
海航集団の経営は、すでに1年前から実質的な公的管理下に置かれている。今回の破産申し立ては、海南省政府の主導で設置された「合同作業チーム」による破綻処理および経営再建プロセスの本格始動を意味する。
海南省が本拠地の中堅航空会社、海南航空を母体に発展した海航集団は、2010年代に海外の航空機リース会社、空港運営会社、物流会社、ホテルチェーン、金融機関などを次々に買収し、経営規模を急速に拡大した。2017年の年次報告書によれば、同年末時点のグループ総資産は1兆2300億元(約19兆8300億円)に達していた。
しかし2017年、海外企業のアグレッシブなM&A(合併・買収)を繰り返していた海航集団を含む複数の中国企業を対象に、中国政府が金融機関の与信リスク管理の監督を強化。それをきっかけに、海航集団は(貸し渋りや貸し剥がしに遭遇して)たちまち資金繰りに窮してしまった。
簿外負債の存在で大幅な債務超過か
その後は資産を切り売りしながら経営の自主再建を目指していたが、新型コロナウイルスの流行で主力事業が大打撃を受け、その望みは絶たれた。2020年2月29日、海航集団は前述の合同作業チームの受け入れを発表し、同チームが資産状況の全面的な精査を続けていた。
海航集団は2019年と2020年の決算報告を開示しておらず、目下の資産状況をうかがい知るのは難しい。だが開示された最後の財務データである2019年1~6月期の決算報告によれば、同年6月末時点の総資産は9806億元(約15兆8100億円)と、2017年末より20%余り縮小していた。
同じく2019年6月末時点の総負債は7067億元(約11兆3900億円)で、負債比率は72%だった。しかし財新記者の取材に応じた多数の関係者によれば、財務の実態は開示された数字よりはるかに深刻だという。
というのも、同社は急拡大の過程で子会社への銀行融資に対する債務保証、コマーシャル・ペーパー発行、売掛債権売却などの方法で不透明な資金調達を繰り返し、巨額の簿外負債が存在すると見られているからだ。
今回、法的整理の手続きが開始されたことは、海航集団が実際には大幅な債務超過だったことを暗示している。
(財新記者:于寧、王娟娟、黄栄)
※原文の配信は1月29日
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