昨年後半から力強い回復ぶりを見せてきた中国製造業の景況感に、変化の兆しが表れている。
2月1日に発表された2021年1月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は51.5と、好不況の判断の目安とされる50を9カ月連続で上回ったものの、前々月のピーク(54.9)から前月(53.0)に続いて2カ月連続で低下。2020年7月以降の最低値を記録した。
製造業の需要と供給は引き続き拡大しているが、そのペースが明らかに減速しており、2021年1月の生産指数は過去9カ月、新規受注指数は過去7カ月の最低値に落ち込んだ。調査対象企業からは、今冬に入って中国国内で新型コロナウイルスの流行が局所的に再発したことが「市場心理にマイナスの影響を与えている」との声が寄せられた。
また、中国国外では新型コロナの感染再拡大が続き、外需の回復基調にブレーキがかかったことも影響している。2021年1月の新規輸出受注指数は2020年7月以降の最低値となり、半年ぶりに縮小基調圏に沈んだ。
雇用縮小とインフレ圧力に懸念
需要と供給の回復ペースの鈍化は、雇用にマイナスの影響を及ぼしている。2021年1月の雇用指数は小幅ながら縮小基調に転じ、製造業が雇用の拡大に慎重になっている実態が表れた。
そんななか、(鉄や銅などの)金属を中心とする原材料価格の値上がりを背景に、製造業の購買価格指数は引き続き上昇した。それに伴う価格転嫁で、工場出荷価格指数は2018年7月以来の最高値を記録。インフレ圧力の高まりが続いていることを示している。
「中国の製造業では需要と供給の回復の勢いが弱まっており、とくに外需の落ち込みの影響が大きい。そんななか、雇用が縮小しインフレ圧力が上昇している状況を軽視してはならない」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そう警鐘を鳴らした。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は2月1日
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