中国のAI(人工知能)技術のユニコーン企業である第四範式(4パラダイム)は1月22日、総額7億ドル(約724億円)のシリーズDの資金調達ラウンドを完了したと発表した。
シリーズDのリード投資家には博裕資本(ボーユー・キャピタル)、春華資本(プリマベーラ・キャピタル)、厚朴投資(ホープー・インベストメンツ)という有力プライベートエクイティー(未公開株)ファンド3社が名を連ねた。財新記者の取材に応じた2人の関係者によれば、第四範式はこれから上海証券取引所のハイテク企業向け新市場「科創板」への上場準備に入るという。
なお、上場計画に関する財新記者の問い合わせに対し、同社の担当者は「時期や上場先についてはまだ検討中」と回答した。ただ、第四範式の創業者兼CEO(最高経営責任者)の戴文渊氏は、2020年8月に財新の取材を受けた際に「科創板への上場機会を積極的に探っている」と語っていた。
官需依存のAIスタートアップと一線画す
第四範式は中国の検索最大手「百度(バイドゥ)」のシニア・サイエンティストを務めていた戴氏が2014年に創業。金融機関向けのAIを活用したマネーロンダリング対策や融資リスク評価などのコンサルティング・サービスを皮切りに、事業を拡大してきた。
中国のAIスタートアップの多くは主要顧客が官公庁であるのに対し、第四範式は顧客の大部分が企業であるのが特徴だ。金融業界では招商銀行、交通銀行、興業銀行などにAIプラットフォームを提供しており、金融業界以外でも外食チェーン大手の百勝中国(ヤム・チャイナ)やビール大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブの中国法人などを顧客として取り込んでいる。
第四範式は現時点では損益を公表していない。財新記者の取材に対し、同社の担当者は次のようにコメントした。
「ビジネスの拡大期には、経営の黒字化は最大の関心事ではない。しかし事業予算の支出計画やキャッシュフロー管理には気を配っている」
(財新記者:何書静、翟少輝)
※原文の配信は1月22日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら