中国のAI(人工知能)半導体のスタートアップ企業である燧原科技は1月5日、総額18億元(約287億円)のシリーズCの資金調達ラウンドを完了したと発表した。
リード投資家には中国の大手投資ファンドの中信産業基金(CPE)、中金資本(CICCキャピタル)、春華資本(プリマベーラ・キャピタル)が名を連ね、ネットサービス大手の騰訊(テンセント)など3社がフォローオン投資家として出資した。
2018年3月に創業した燧原科技は、これまでに4回の資金調達を公表している。最初のプレ・シリーズAでは3億4000万元(約54億円)を調達し、テンセントがリード投資家を務めた。続くシリーズAでは3億元(約48億円)、シリーズBでは7億元(約111億円)を調達しており、テンセントはフォローオン投資家として追加出資を行った。
つまりテンセントは、今回のシリーズCを含めて燧原科技に4回連続で出資したのだ。燧原科技の(シリーズCの結果がまだ反映されていない)更新前の法人登記簿によれば、テンセントの出資比率は創業チーム以外では最大の22.04%を占めている。
燧原科技にとって、テンセントからの出資受け入れは経営上の重要な後ろ盾になっている。テンセントは阿里巴巴(アリババ)に次ぐ中国第2位のクラウドサービスプロバイダーであり、AI半導体の大手であるエヌビディアやインテルから(データセンター向けの)ハードウェアを大量に調達しているからだ。
燧原科技の創業チームはAMD出身
一方、テンセントには燧原科技との結びつきを強めることでクラウド事業のライバルとの距離を縮める思惑がありそうだ。世界最大手のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や2位のマイクロソフト、中国首位のアリババなどはデータセンター向けのAI半導体の独自開発に乗り出しているが、テンセントは出遅れている。
テンセントのベンチャーキャピタル部門のトップを務める姚磊文氏によれば、燧原科技のAI半導体の製造が実現した後、すでにテンセントとの間で深いレベルの協業を進めており、高いシナジー効果を確認したという。
AI半導体の分野で現在最も先行しているエヌビディアは、もともとGPU(画像処理半導体)の大手だ。実は燧原科技の創業チームは、GPUでエヌビディアの長年のライバルであるアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の出身者が多数を占めている。
例えば創業者でCEO(最高経営責任者)の趙立東氏は、かつてAMDに7年間在籍し、コンピューティング部門の上級職を務めた経歴を持つ。
(財新記者:叶展旗)
※原文の配信は1月5日
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